日常にツベルクリン注射を‥

現役の添乗員、そしてなおかつ社会科の教員免許を所持している自分が、旅行ネタおよび旅行中に使える(もしくは使えない)社会科ネタをお届けするブログです♪

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【学校で教えてくれない社会科】3時間目〜個人で独立国を作る方法を考える〜

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【学校で教えてくれない社会科】は、社会科の教員免許を所有しているツベルクリンが、学校で教えてくれないような役立たない社会科の授業をしていくシリーズ記事です。3時間目の今回は「個人で独立国を作る方法を考えようというテーマで授業していきます。

 

前回の授業の復習こちら

www.tuberculin.net

 

前回の授業の中で、小さい島(岩)を勝手に占領して、独立国家だと言い張るグループがいたというお話をしました。もし、そんなことが本当に可能ならば、自分で独立国家を作れば、国王なり皇帝なり大統領になれるわけです。

 

今日は、ある程度まじめに、個人で独立国家を作る方法を考えていきます。

 

 

<目次>

 

 

 

 

先輩たちの事例

そもそも、過去に個人やグループが『俺たち今日から独立国家やで‼︎』と言い張った事例はあるのでしょうか?もちろんいらっしゃいます。まずは、2つの例を挙げて、先輩たちのやり方を見ていきましょう

 

 

シーランド公国の例

 

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出典:https://www.huffingtonpost.jp/

イギリスとフランスの間にあるドーバー海峡に位置する「シーランド公国」。上の写真がこのシーランド公国の全貌です。面積は207平方メートルで、バレーボールコート<シーランド公国<テニスコートという広さです。

 

もともとは、第二次世界大戦中の1942年にイギリス軍が作った海上要塞だった建造物です。戦後は必要無くなったので放置されていたのです。

 

1967年、イギリス人のロイ・ベーツという人が何を血迷ったのか、海上要塞だったこの建造物を「占領」、シーランド公国という名前を付けてイギリスからの独立を宣言しました。そして自らを「ロイ・ベーツ公」と名乗り、シーランド公国の「国王」になりました。

 

イギリスさん『何なんコイツ(´・ω・`)まぁここは大人の対応で裁判所に掛け合ってみるとするか…』

 

イギリス政府は、シーランド公国を認めず、ロイベーツ公に対して立ち退くよう、裁判所に訴えを起こしました。

 

イギリスの裁判所『シーランド公国は、イギリスの領海(他国に侵入されず自分たちの国の法律が適用される範囲の海)の外にあるから、僕らは何とも言えないよ〜(*'ω'*)』

 

 

まさかの訴えが退けられる展開に(´・ω・`)

 

 

その後のシーランド公国

1978年、ロイベーツ公は資金を得るために、ドイツ(当時の西ドイツ)の投資家アッヘンバッハさんを「国民」として招き、シーランド公国の首相に任命。

 

⇨アッヘンバッハさん、クーデターを起こし、シーランド公国を襲撃。ロイベーツ公の息子マイケルベーツ皇太子を拉致。ロイベーツ公を追放。

 

⇨ロイベーツ公、仲間を募り、乗っ取られたシーランド公国を襲撃。自分にとっては反逆者のアッヘンバッハさんを監禁。

 

⇨ドイツの外交官が事態解決のためにシーランド公国を訪問。アッヘンバッハさんを解放してくれるように説得。外交官が来る=シーランド公国が国として認められた、と思ったロイベーツ公大喜び。アッヘンバッハさんを解放。

 

国をあげたギャグをかましてくれるシーランド公国。現在は皇太子だったマイケルベーツさんが国王として君臨しています。

 

 

 

ワイ公国の例

 

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2004年、オーストラリアのシドニー市郊外にあるモスマン市に、1つの「独立国」が誕生してしまいました。それが「ワイ公国」です。写真はワイ公国国王のポールデルプラット公とその妻です。普通、こういうのって妻が『あなた何考えてるの!』と諫める役目を果たすと思うのですが、まさかの妻もアウトローだったというわけです。

 

 

 

事の発端ですが、

 

ポールさん、自宅敷地内に道路を作りたくなり、市役所に道路建設の許可を申請

⇨市役所『残念ですがお断りいたします』

⇨ポールさん『よろしい、ならば独立だ‼︎』

 

ポールさんは、自宅の敷地内を領土とするワイ公国を建国、オーストラリアからの独立を宣言いたしました。国民は自分を含めたポールさん一家5人です。

 

そして、当時のモスマン市長さんがポールさん一家の独立宣言を認めたのです。オーストラリアは国をあげたギャグに対してすごく寛容的なんですね。 

 

こちらがワイ公国の公式HPです(英語)。 

Principalityofwy

アウトローも15年以上続けると既成事実化していくから怖いですわ(*'ω'*)

 

 

 

国家の三要素 

2つの「独立国」の例をお話しましたが、『そもそも国家とは何なん?』 という疑問を考えるにあたって、まずは国家として成立するために必要な3つの要素を挙げます。

 

それは、①領土②国民③主権の3つです。三要素について、1つずつ見ていきましょう!

 

①領土

⇨土地そのものが必要ですね。

②国民

⇨その国に住んでいる住民が必要ですね。

③主権

⇨これが一番分かりにくいと思います。さまざまな意味を持つ言葉ではありますが、ここでは"他の国に邪魔されずに、自分の国の国民や領土を支配できる権力"としておきましょう。

 

これら三要素が揃えば、理論上は独立国家を立ち上げることが出来ると言えます。

 

 

シーランド公国やワイ公国は独立国家の三要素を満たすのか?

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では、さきほど実例として挙げた2つの「独立国」は、独立国たる3要素を備えていると言えるのでしょうか?

 

シーランド公国の場合は、「①領土」が怪しいです。そもそもシーランド公国は、人工建造物の上にあるもので、島ではありません。島ではないシーランド公国は独立国家として認められる可能性は極めて低いです。

 

ワイ公国は「③主権」が怪しいです。ワイ公国は、オーストラリアというちゃんとした独立国家の中にあります。仮に独立宣言をしたとして、それをオーストラリア政府が認めるわけは無いので、必ずワイ公国に邪魔をしてきます。その邪魔に屈しない権力がワイ公国に備わっているかといえば、かなり怪しいと言えます。

 

つまり、仮にこのブログをご覧の方が『俺もマイホームと土地を持ってるから明日から日本から独立するわ!』と独立宣言をしたとしても、日本政府から邪魔される可能性が高いと言え、現実的には難しいと言えます。

 

 

 

確実に独立国家を作る方法

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では確実に独立国家を作る方法は無いのでしょうか?一番確実なやり方は、世界中を探し回って、まだどの国にも発見されていない領土(島)を見つけることです。そして、その島を自分の独立国家の領土と宣言すればいいのです。この方法だと、どの国からも邪魔されることなく、独立を保つことが出来るの可能性が高いです。

 

もちろん、Googleマップさんが発達した現代で、誰にも見つかっていない島を見つけられるかどうかは、私の知ったことではありません(*'ω'*)

 

 

 

国家の3要素以外に必要なもの

では仮に、誰にも見つかっていない島を発見し、独立宣言したとして、果たして独立国家になれるかと言ったら、正直難しいです。

 

 

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日本の近くで考えてみましょう。台湾という"地域"があります。中国から独立しようとする動きもあります。

 

台湾は、領土もあるし、国民だって問題なく存在するし、主権も台湾政府が存在しています。国家の3要素が完璧に揃っているけど、台湾は独立国家として認識されていません。何故でしょう?

 

実は独立国家を作る上で一番ハードルが高いのが、「他国から国家として認められる」ことです。難しい言葉を使うと「国家承認を得る」と言います。他国から『○○国を国家として認めます』というお墨付きを貰わねば、国際的に独立国家になり得たとは言えないのです。

 

国家の3要素が完璧に揃っている台湾を「独立国家」と認めている国は、南米のパラグアイなど世界中でわずか15か国に過ぎません。日本も台湾を独立国家として認めていません。

ちなみに、前述したシーランド公国やワイ公国を独立国家として認めている国は、1カ国もありません。

 

以上のように、たとえ国家の3要素をクリアしたとしても、他国からの国家承認を得られない限りは、国際的に独立国家としてその地位を確保することは極めて困難と言えるでしょう。 

 

 

終わりに…(2020年8月追記)

正直に言うと個人やグループが勝手に独立国家を作るのは非常に困難なのです。

 

むしろ、頑張って日本の総理大臣になってしまった方が早いし確実だと思いますので、諦めきれない方は是非頑張って総理大臣就任を目指してください(*'ω'*)

 

 

 

 

2018年12月にアップした記事をリライトしました。この記事の内容は、実際に私が中学校の教師として勤務している時に授業で扱ったネタです。ブログを始めたころは、本当に授業で題材として扱ったアカデミックな内容を掲載していたんですね~。

 

 
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