【なんでも選手権】は、私ツベルクリン主催の様々なジャンルで競われる全国大会です。今回は「パチモン天守閣選手権」を開催いたします
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日本人は天守閣が大好きです。確かに日本各地には、天守閣の無い城もあるにはあります。例えば、"天空の城"と呼ばれる兵庫県の竹田城、京都にある世界遺産の二条城などです。
でも、やっぱり日本人は天守閣のあるお城が好きです。日本人だけでなく、外国人も天守閣のあるお城を見ると『Japan is cool ‼︎』と叫びます。例えば、姫路城とか大阪城です。
現在、天守閣がある場所は、現存していようが鉄筋コンクリートであろうが、基本的に江戸時代にそこにお城があった場所に存在しています。今の大阪城は、確かに鉄筋コンクリートではありますが、昔も同じ位置にお城が存在したのです。
一方で、「確かにお城はこの場所にかつて存在したけど天守閣は無かった、現代人が想像で勝手に天守閣を建てちゃった」的な天守閣があります。これを、模擬天守といいます。例えば、富山県にある富山城です。
富山城は同じ場所に江戸時代もお城はありましたが、天守閣は存在しませんでした。今ある富山城は、現代人がイメージで勝手に建てたものです。
では、タイトルの"パチモン天守閣"とは、どういうことでしょう?お察しかと思いますが、「昔お城があった事実は無いけど、"天守閣建てたら観光客くるんじゃね?"と深く考えずに建てちゃった天守閣っぽい建物」のことです。それを建築学的には天守閣風建造物、当ブログではパチモン天守閣と呼びます。
こいつが困るのが、ツアー中にバスの車窓からパチモン天守閣が見えるとお客様が『あのお城は何?(きっと歴史ある建物なんだろう‥)』と興味をもつことです。そのようなお客様に、『あれはパチモン天守閣ですよ』と説明するのは心苦しいです(๑・̑◡・̑๑)
今回は、日本各地のパチモン天守閣をご紹介していき、注意喚起を促していきますね(๑・̑◡・̑๑)
<目次>
熱海城(静岡県)
まずご紹介するのが、静岡県熱海温泉にある「熱海城」です。熱海城というお城は、歴史上存在したことはありません。ただ、背景を見る限りでは、ここに天守閣を建てたくなる気持ちは分かります。
熱海城から熱海市内が一望できるし、逆に熱海市内から天守閣が丸見えです。パチモン天守閣はパチモンのくせに、絶対に景観に入り込んでくる位置に建っているのでタチが悪いです。
入場料は大人1人1000円です。いわずもがなクソぼったくりです。復元ではない現存天守閣で世界遺産にも登録されている姫路城と同じ入場料なのです。
ただ、この熱海城はボったくってる意識があるのか、入館者にそこそこ還元しています。城内には足湯があります。さらには、無料で遊べるゲームセンターがあります。
さらに、大人のために春画コーナーもあります
ちゃんとした歴史的なお城では、こんなことやったら地域の教育委員会から怒られますが、パチモンであるのを逆手にとってやりたい放題やっているのです。
春画を見て『もっと生命誕生の神秘に触れたいな~』と感慨にふけったら、熱海には「熱海秘宝館」という素晴らしい生命誕生アミューズメント施設があります。
つまり、熱海という街は、生命誕生に関して非常に先進的な地域と言えます。ぜひ、熱海温泉にお越しになり、その神秘に触れてみてください。
墨俣城(岐阜県)
岐阜県大垣市にある「墨俣城(すのまたじょう)」のご紹介です。これをパチモン天守閣カテゴリーに入れていいのか、正直微妙です。というのも、歴史上、墨俣城は"存在したかもしれない"とされているからです。
歴史の小話として「墨俣一夜城」というのがあります。戦国時代、今の愛知県を平定した織田信長は、次の後略目標を美濃(みの:現在の岐阜県)と定めました。その前線基地を作るにあたって、家来の木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)に命じて城を作らせました。秀吉は、持ち前の能力を生かし、わずか一夜にして城を築いたのです。これを墨俣一夜城と周囲は呼びました‥‥的な話です。
この話は事実かどうか分かりません。事実としても、秀吉が築いたのは天守閣を持つような立派な城ではなく、砦のようなものだったとされています。さらに、場所もはっきりと分かっていません。遺構が見つかっているわけではないし、史料も断片的だからです。今建っている天守閣の場所も何となくです。
ですから、『資料館くらいにしとけよ(´・ω・`)』というのが私の気持ちです。現在の墨俣城が開館したのが1991年3月です。ちょうどバブル景気の時期です。勢い余って天守閣建てちゃって、オープンしたらバブルがはじけちゃったよ、の巻です。
ただ、ここに天守閣を建てたくなる気持ちは分かります。日本人は天守閣+桜の風景が好きです。こたつとミカンくらい好きです。パチモンだって桜とセットなら問題ないのです。
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勝山城(福井県)
なぜパチモン天守閣を建てるかというと、儲けたいからです。儲けるために手っ取り早いのが、日本人が大好きな天守閣を建てちゃうことです(そして、たいてい失敗します)。そんな中、あくまで慈悲の心で建てられたパチモン天守閣があります。福井県の勝山城です。
関西のタクシー業界においてその名をとどろかせた多田清(1905年~1991年)という実業家がいました。相互タクシーというタクシー会社を起こし、一代で大企業へと成長させました。
その彼が、あり余る財力を使って建てたのが勝山城です。彼の出身地、福井県勝山市の町おこしのために、パチモン天守閣を建てちゃいました。パチモン天守閣を建てる前には、同じく勝山市に「越前大仏」を建てちゃいました。
ちなみに、多田清は兵庫県の長楽寺というお寺にも大仏を寄進しています(但馬大仏と呼ばれる)。『もっと、お金の使い方あるだろ(´・ω・`)』と言いたくなりますが、彼のおかげでお客さんが自分しかいないほぼ貸し切り状態の天守閣と大仏がいつでも見学できるのです。
伊勢忍者キングダム(三重県)
三重県のお伊勢さんから志摩エリアに向かう際に、無駄に目立つ天守閣が見えてきます。伊勢忍者キングダムです。
織田信長の本拠地として知られる滋賀県の安土城の天守閣は、わずか3年しか存在しませんでした(信長死後、不審火で消失)。天守閣の正確な記録が残っていないので、ある意味現代人がやりたい放題に想像で復元することができます。やりたい放題復元したものが、なぜか三重県にあるのです。
もともとは、「伊勢戦国時代村」という名称でオープンしました。織田信長は戦国時代の人物ですから妥当です。しかし、時代を経るごとに経営が低迷。その後名称を「伊勢安土桃山文化村」、「伊勢安土桃山城下街」、そして現在では「伊勢忍者キングダム」と名称変更されました。
信長よりも忍者を前面に押し出すようになり、もう何でもありです。最近では、手作りバームクーヘンを販売しだしたりと迷走っぷりハンパないっす(´・ω・`)。パチモン天守閣なら迷走したってかまわないのです。
出典:https://samuraikingdomise-03.themedia.jp/
尾道城(広島県)
その場のノリで勢いあまってパチモン天守閣を建てちゃうとどうなるか、その末路の良い例が広島県にある尾道城(おのみちじょう)です。
1964年に建てられました。パチモン天守閣の中では古株です。パチモン天守閣のダメなところは、全く歴史的背景がありませんから、飽きられると終わりってことです。これがちゃんとしたお城なら、地元の教育委員会が管理をしますから、例え入城者が0人でも血税を投入して維持管理できるのです。
しかしながら、歴史的背景の無いパチモン天守閣だと、ただのアミューズメント施設であり、入城者が減れば当然潰れるのです。この尾道城も1992年に閉鎖されました。
パチモン天守閣は、どこにだって建てられるので、基本的に目立つところに建設されます。パチモンのくせに目立つのです。尾道城は現在閉鎖されていますが解体されてはいません。廃墟として存在しているのです。早く"落城"してほしいものです。
お菓子の寿城(鳥取県)
鳥取県にある「お菓子の寿城」のご紹介です。一企業が自己満足のために建てたパチモン天守閣です。お菓子の寿城は天守閣空白県の鳥取県にあります(鳥取城には天守閣が無く石垣のみ)。鳥取県に天守閣は存在しませんから、お菓子の寿城の独壇場なのです。
お菓子メーカーであり、主力商品はとち餅です。
天守閣の中へ侵入すると、とち餅攻撃隊がとち餅の試食を乱射してきます。侵入者はなすすべもなく、試食攻撃を喰らって敗北する(とち餅を購入する)のです。
楠橋城(福岡県)
世の中には、"触れないほうがいいもの"があります。福岡県の楠橋(くすばし)城はその例です。福岡県の北九州市にあります。
高速道路や新幹線からこのお城は見えます。実はこのお城は個人の持ち物です。個人の持ち物ですから当ブログでは、これ以上深く扱いません。どうやら、地元の有力者(ヤク‥‥、おっと、誰か来たようだ(´・ω・`)
終わりに‥
パチモンにはパチモンの魅力があります。普通の歴史ある由緒正しき天守閣に飽きた方は、ぜひパチモン天守閣へ!
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