日常にツベルクリン注射を‥

現役の添乗員、そしてなおかつ社会科の教員免許を所持している自分が、旅行ネタおよび旅行中に使える(もしくは使えない)社会科ネタをお届けするブログです♪

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【時には昔の雑誌を‥】100年前のすごろくを通して見る明治時代の家庭の様子

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【時には昔の雑誌を‥】シリーズは、筆者であるツベルクリン所有の昔の雑誌を、解説を入れながら読んで行くシリーズ記事です。今回は、「すごろくを通して見る明治時代の家庭の様子」についてご紹介していきましょう。

 

今回ご紹介するのは、1906年(明治39年)から戦前にかけて発行されていた婦人向け雑誌、『婦人世界』1912年1月号です。その雑誌に"おまけ"として付いていたのが今回取り上げる「24時家庭双六」です。

 

この双六を見ると、100年以上前の一般庶民の家庭の様子が見えてきます。双六の全体図がこんな感じです。

 

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右下の「振り出し」から始まり、時計回りで進んでいき、真ん中の「上り(あがり)」がゴールです。このすごろくの絵は、大正~昭和期に活躍した画家、川端龍子(かわばたりゅうし)によって描かれたものです。

 

川端龍子 - Wikipedia

 

この双六で"模範的な家庭"と描かれている家族の構成ですが、夫婦に旦那の両親(つまり舅&姑)、長女、長男、そして次男の3人兄弟。そして、お手伝いさんがいるようです。お手伝いさんがいる時点で、一般庶民というよりそこそこ上流階級な気もします。

 

この双六の目的は、母親が子供と遊びながら基本的な生活習慣を覚えさせることにあります。また、30分ごとに1マスずつ進むようになっており、時計の読み方を子供が学習できるようにもなっています。

 

 

 

1マスずつ見ていきましょう。


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振り出しマス:午前5時「開門」

主婦の朝は早いっす。朝5時に起きてまず家の門を開け放ちます。

 

 


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2マス目:午前5時30分「朝飯焚」

炊飯ジャーとか無いからね。お米炊くのも時間かかるよね。でも、この時代にはすでにガスが家庭に普及していたことが絵から読み取れます。てっきり薪で火を起こして~の時代だと思ってましたわ(もちろん田舎は薪だと思いますよ)。

 

家庭用のガスかまどが登場したのは1902年(明治35年)ごろです。それから10年後のすごろくなので、少なくとも東京のそこそこリッチな家庭では、ガスかまどが普及していたのでしょうね。

 

 


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3マス目:午前6時「洗面」

 

 

 


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4マス目:午前6時30分「お掃除」

長女が起きてきました。

 

 

 


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5マス目:午前7時「朝御飯」

末っ子の次男も起きてきて家族みんなで朝ごはんです。

 

 

 


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6マス目:午前7時30分「学校ゆき」

長男と長女が小学校へ登校します。欄外に『さいころを振るとき"行ってきます"と言わなかったら一回休み』と書いてあります。こうやって、普段の挨拶を学んでいこうという趣旨です。

 

 

 


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7マス目:午前8時「御出勤」

ここで初めてお父さんが登場します。威厳あふれるお父さんですわ。

 

 

 

 

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8マス目:午前8時30分「新聞」

つかの間の休息タイムです。現代だったら朝ドラ見てるような時間ですわ。

 

 

 


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9マス目:午前9時「御用聞き」

現代なら"御用聞き"なんて言葉、『サザエさん』に出てくる三河屋のサブちゃんしか使わないよね。そして、奥の方に座っているのはお手伝いさんでしょうか?

 

欄外には『このマスに止まってすぐに"今日は要りません!"と言えば、その先の買い物マスに進める』と書いてます。せっかくサブちゃん来てくれたんだから即座に追い返すのはちょっと‥(*'ω'*)

 

 


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10マス目:午前9時30分「生け花」

明治時代の女性は生け花もたしなむ気品ある女性でなければいけません(*'ω'*)

 

 

 


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11マス目:午前10時「髪結」

髪を自分で結うのも、成人女性のたしなみの1つとされていました。

 

 

 


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12マス目:午前10時30分「買い物」

 

 

 


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13マス目:午前11時「手紙」

 

 

 


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14マス目:午前11時30分「お昼の支度」

 

 

 


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15マス目:午後0時「お昼飯」

お姑さんがお待ちです。『このお食事、塩っ辛いわね~。まさか私を早く死なせようとしているのかしら?(笑)』とか嫌味を言われるんでしょうか?

 

 

 

 

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16マス目:午後0時30分「婦人会」

さすが上流階級、婦人会へお出かけするのに人力車使ってます。でもたかが30分くらいの婦人会ならリモートでやれよ(*'ω'*)

 

 

 


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17マス目:午後1時「裁縫」

ミシンを持ってるんですね。ミシンが日本に初めて紹介されたのは、江戸時代末期のペリー来航時です。ペリーさん一行がお土産の1つとしてアメリカ産ミシンを持参したのです。

 

明治時代まではアメリカからの輸入品のみでした(おそらく上の絵のミシンもアメリカ産だと思われます)。国産の製造が本格化したのは大正時代以降です。輸入品を購入できる時点で、この家庭がそこそこのお金持ちだということがうかがえます。

 

 


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18マス目:午後1時30分「御来客」

火鉢&コーヒーっていう和洋折衷のとこがモダンで素敵だもん(*'ω'*)

 

 

 


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19マス目:午後2時「只今(ただいま)」

そうこうしているうちに、子供たちが学校から帰ってきました。なお『このマスに来たものは手をついて"ただいま"と言う』と欄外に書いてます。さすが上流階級、ただいまの言い方もアレです。

 

 

 


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20マス目:午後2時30分「お琴」

今だったらピアノなんでしょうか?ここまでくると上流階級っぷりを隠すことを辞めたみたいです。

 

 

 


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21マス目:午後3時「おやつ」

何を食べてるんですかね?

 

 

 


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22マス目:午後3時30分「復習」

学校の宿題を見てあげてます。

 

 

 


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23マス目:午後4時「戸外遊戯」

電車ごっこでしょうか?

 

 

 

 

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24マス目:午後4時30分「晩の御支度」

お手伝いさんと協力して夕ご飯を作ってます。

 

 

 


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25マス目:午後5時「おかえり」

旦那さんが帰宅しました。お土産を持って帰ってきたようなので子供たちからも手厚くお迎えされます。

 

 

 


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26マス目:午後5時30分「お風呂」

 

 

 

 


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27マス目:午後6時「一家団欒」

旦那の両親(舅&姑)もやってきてみんなで夕ご飯です。欄外には『このマスに止まった時に"ごちそうさま"と言わない場合、復習マスに戻る』と書いてあります。すごろくを通して子供をしつけられるようになっています。

 

 

 


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28マス目:午後6時30分「活動写真」

活動写真とは、初期の映画のことを指します。映画と違うのは音声がない(無音)であるという点です(技術的にまだ音を入れることは出来なかった)。この家庭は今で言うホームシアターを持っているということになります。

 

日本に現存する最も古い活動写真アニメーションが1917年製作の『なまくら刀』だと言われています。

 


なまくら刀 塙凹内名刀之巻(1917年)

 

音量MAXにしても何も聞こえてきません。だって無声映画だもん(*'ω'*)

 

 

 


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29マス目:午後7時「謡曲」

謡曲とは、能(のう)のセリフ部分にあたる部分をフシを付けて読み上げる娯楽です。としか説明しようがありません。今で言うカラオケみたいな立ち位置でしょうか?

 

 

 


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30マス目:午後8時「歌留多遊び」

女性の娯楽はカルタ遊びみたいです。毎日カルタしてるんでしょうか?YouTube見ろよ(∩´∀`)。

 

そして今まで30分刻みだったスケジュールだったのが、このマスのみ1時間刻みになっています。やっぱりカルタは白熱するから仕方ないね(*'ω'*)

 

 


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31マス目:午後9時「日記をつける」

これは現代で言うならばブログを書く時間ですね。

 

 

 


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32マス目:午後10時「上り(おやすみなさい)

 

 

こうして見ると、明治時代の日本人は結構忙しかったみたいです。そして忙しい合間にも、カルタとか映画とか娯楽もそれなりに楽しんでいたようです。

 

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