【時には昔の雑誌を‥】シリーズは、筆者である私所有の昔の雑誌を、解説を入れながら読んで行くシリーズ記事です。今回は、1932年(昭和7年)1月に講談社が発行した『新時代婦人心得 知らねば恥大画帖』をご紹介していきます。
その中でも今回は、昭和7年当時の価値観で書かれた『好かれる女』『嫌われる女』特集です。一部フェミニスト界隈の皆さんが怒りそうな内容かもしれませんが、当時の価値観をそのまま掲載しているだけで、私個人の思想が反映されているものではありませんから、たぶん問題は無いはずです(´・ω・`)
<目次>
『好かれる女』
最初にどんな女性が好かれるのか見ていきましょう。主に結婚前の若い女性がその対象のようです。現代の価値観から見ると多少、時代を感じるかもしれません。
①ほどよい愛嬌。しかも無邪気で明るい娘さん
②お行儀の良い言葉使いの上品なしとやかな女
このあたりは現代の価値観でも『まぁそうでしょうね』って感じです。
③弟や妹の面倒をよく見る親切な娘さん
④年寄りを大切にする思いやりの深い女
⑤お母さんの手助けを手まめによくする娘さん
⑥他人の注意をよく聞き入れる素直な女
このあたりもまあ現代の価値観でも理解できます。現代の価値観で補足するならば、これらのことって男女関係ないですからね(*'ω'*)
⑦清潔好きでお掃除やお洗濯をテキパキとやる活動的な女
⑧他人の陰口などは決してきかぬ慎み深い女
‥欄外に"口は禍の元、口元に哨兵を置く女性こそ"と書いてあります。哨兵(しょうへい)とは見張りの兵隊のこと。軍隊用語が出てくるところが戦前っぽい
⑨ちょっとしたことにもよく気立てのきく女
‥欄外に"男客だ!お茶よりまずタバコのセット"とあります。ここら辺は、現代の男女平等が浸透しつつある価値観だと反感を買いそうではあります(*'ω'*)
⑩何事にも感謝の念の深い純情な女
⑪いつもキチンとした身だしなみをして感じが良い女
⑫秘密には錠前をかけて必ず守る口数の少ない女
全体を通して見ると、いくつか昭和感を感じるものはあるものの、おおむね今の時代も通用しそうではあります。
『ほめられ奥様』
「好かれる女」ではおもに独身女性がその対象のようでしたが、結婚した後に褒められるような女性はどんな人物だったのか、みていきましょう。
①いつも気持ちよく送り迎えして主人の気持ちをそらさぬ奥様
②夫の同僚や友人を快くもてなす奥様
‥今だとアポなしでいきなり泥酔した同僚たちを連れて帰宅したらネクタイで首絞められそうです(*'ω'*)
③近所や親類との交際を円満にする奥様
‥現代では近所付き合いが無い場合もありますけど、当時はのちに「隣組」という互助組織も出来るような時代でしたから、近所付き合いは大事だったのでしょう。
④自分の虚栄を捨てて主人の義理を立てる奥様
⑤いつも健康で快活に家庭内を明るくする奥様
⑥愚痴をこぼさずにいつも笑顔で夫を発奮させる奥様
⑦いらぬ言い訳をせずにいつもハイハイと素直にする奥様
このあたりは共働きが増えた現代だと感覚のズレを感じるかもしれませんね。
⑧何事にも主人を立ててむやみに出しゃばらぬ奥ゆかしい奥様
⑨夫の職業を理解して、よくいたわる行き届いた奥様
⑩子供を上手に躾けて学校の先生にまで褒められる奥様
⑪上手に貯金して家政を豊かにする奥様
⑫子供には上手に諭して叱ったり泣かしたりしない奥様
⑬何事にも手マメに片付ける、家の中はいつもキチンと整頓しておく奥様
⑭召使いを親切に取り扱って、いつも感謝されている奥様
‥これまで一般庶民向けと思わせておいてからの、急に出てきちゃった"召使い"とかいう単語を登場させて庶民を放置プレイしてくるスタイル。そもそも、この雑誌自体がどちらかというと富裕層向けに書かれています。
⑮家事を上手にして夫や子供に不自由をさせずいつもキチンとさせておく奥様
『嫌われる女』
ここまではどんな女性が好かれたり褒められたりするのか見てきました。でも正直、皆さんそんなの興味ないですよね。「好かれる女」より「嫌われる女」の方が興味あるに決まってます。分かりますよ、その気持ち(*'ω'*)
①『あら違うわよ』と利口ぶって、何事にも必ず出しゃばる口から先に生まれた女。そのくせご本人こそいい加減なことばかり。
②知ったかぶりして外国語や流行語をむやみに乱発する女、それも大抵は間違いだらけ
‥今も無意味にカタカナ語使いたがる人っていますよね(*'ω'*)
③爪の垢ほどのこと(些細な事)でもすぐプンと膨れるフグのような女
‥"フグのような"っていう描写が良い(๑・̑◡・̑๑)
④誰にでも片っ端からケチをつけたがる、ご飯よりも陰口の好きな女
⑤子供が火のつくように泣いていても一向に平気でほったらかしにしている無神経な女
⑥欲ばかり深くて他人の迷惑などは一向に構わぬ女
⑦機嫌はいつも晴れたり曇ったり、まるで当てにならぬ天気予報みたいな女
⑧二言目には夫の自慢子供の自慢、それでも足らずにお里の自慢話まで持ち出す天狗女
⑨人の好き嫌いが激しい女。こういう女に限って人間の全てを敵か味方かどっちかに定めぬと承知できない険難な女
⑩遠慮が過ぎてしり込みばかりして何を言ってもハキハキしないじれったい女
‥出しゃばり過ぎてもダメだし、かといって遠慮し過ぎてもダメ。バランスが難しい(*'ω'*)
⑪自分だけが偉そうにツンと澄まして人を見下げる傲慢な女。美人ぶる女もこの種類
終わりに…
『嫌われる女』シリーズは、なぜか絵が秀逸。性格が悪いのが絵に滲み出てるもん。嫌われるシリーズは、現代の価値観でも激しく首を上下に振りたいほどに同意できるものばかりです。
『こういうイヤな人っているよね~』って話題に関しては、90年以上前のご先祖様を現代によみがえらせて、令和のスタバに呼んで女子トークしても話が合いそうではあります。性格の悪さって時代を超えるんですね(*'ω'*)