【旅行用心集を読む】シリーズは、『旅行用心集』という江戸時代のガイドブックを読んでいくシリーズ記事です。今回はその第3回目です。
『旅行用心集』とは、1809年(文化7年)に八偶芦庵という旅好きの一般人がまとめた旅行のハウツー本です。その江戸時代に書かれた書物の原本がツベルクリンの家に放置してあったので、それを現代語訳しながら読んで行きます。
芦庵は旅行の際に気を付けることを"道中六十一ヶ条"としてまとめています。前回の第2回ではその条項の1~7ヶ条までご紹介しました。今日は第8条からです。
<目次>
<第8条>
1行目"空腹なるとて~"より現代語訳
「空腹だからと言って、旅行中は食べ過ぎないように気を付けましょう。また、急いで食べずにゆっくりと食事しましょう。空腹になると体力が落ちてくるので、そのような時にいきなり食べては具合が悪くなるおそれがあります。気をつけましょう。」
伊勢神宮の名物である伊勢うどんはめっちゃまずい柔らかいです。それは、長旅で疲れてきた旅行者に対して、消化の良い食べ物をということであれほど柔らかいうどんになっているのです。
出典:https://www.jalan.net/news/article/182602/
<第9条>
5行目"空腹に酒~"より現代語訳
「空腹時に飲酒するのは控えましょう。食後に飲むようにしましょう。また、寒くても(お酒は)暑くても温めて飲むようにしましょう」
すきっ腹にアルコールは良くないって現代もいいますよね。
そして、芦庵さんは、夏でも熱燗とか焼酎お湯割りで呑むんでしょうか?焼酎ロックはダメらしいです。
<第10条>
7行目"道中にて焼酎~"から現代語訳
「旅行中はむやみに焼酎を飲んではいけません。食あたりになる人がいます。上等の焼酎なら少々飲んでも大丈夫でしょう。もっとも、梅雨の時期や湿気が多い土地では焼酎や泡盛が湿気払いに良さそうです。でも、秋冬は飲んではいけません。」
もう(飲むものが)ないじゃん‥(´・ω・`)
ってか焼酎や泡盛が湿気を払うとか、ちょっと何言ってんのか分かんない(;´・ω・)
<第11条>
2行目"空腹は風呂へ~"より現代語訳
「空腹の状態で風呂へ入ることは避けましょう。食後であっても、しばらくは入浴は控えましょう。しかしながら、宿泊客が多い時は風呂の順番の都合上、空腹状態で入浴せねばならない時がありますが、まず足の先からお湯をかけて湯船につかりましょう。長湯はダメですよ。空腹時にはのぼせることがります。」
現代の旅館では、お部屋にお菓子が置いてありますよね。
出典:https://plaza.rakuten.co.jp/siroihana/diary/201008020000/
これは、『空腹のまま温泉に入っちゃだめよ(旅館の売店で販売してあるお菓子の宣伝のため)』という旅館側のメッセージです。
江戸時代の旅籠屋(はたごや・庶民向けの宿泊施設。食事つき)の様子を書いた絵があります。
この絵画は長野県の下諏訪宿(しもすわしゅく)の様子を描いたもので、作者は歌川広重です(うたがわひろしげ・江戸時代後期の浮世絵師)。右側で夕食を食べている様子が描かれていますが、左側赤〇でのんきに入浴している男性の姿が描かれています。
下諏訪宿は、諏訪大社という大きな神社があるので宿泊する旅行者が多く、宿場町の規模も大きかったようです。しかしながら、だんだんアドバイスの内容が細かくなってきたわ(´・ω・`)
<第12条>
8行目"相宿にて風呂~"より現代語訳
「風呂へ入るときは、旅館の従業員の案内に従いますが、混雑のため(従業員が)案内の順番を間違えることがあります。同時に入ろうとする客がいたら様子を見て自分より格上っぽかったら、順番を譲りましょう。順番の前後というものは争いの種になりやすいので、あまりでしゃばらず相手を尊重することが自分の利益ともなります。」
つまり、さっきの絵画の中でのん気に入浴してた人は高貴な人かもしれませんね(´・ω・`)。ちなみに、お殿様や皇族、公家なんかが宿泊する場合は、「本陣」または「脇本陣」というちゃんとした宿泊施設に泊まるので、一般庶民がすれ違うことは無いと思われます。
もし、仮に同時に入ろうとする人が自分より格下っぽかったら『てやんでぃ!』精神で対決するんでしょうか?
<第13条>
5行目"殊の外草臥たる時~"より現代語訳
「めっちゃ疲れてるときは、熱い風呂に少し長めに入ると疲れが取れます。その時は、何回も顔を洗うのは避けましょう。のぼせてしまいます。」
"くたびれる"という言葉を漢字にすると「草臥れる」って書くんですね。臥(ふ)せるとは寝るっていう意味があります。疲れたら草の上で臥せましょう。
疲れているときには、ぬるま湯のほうがいいんじゃ‥(´・ω・`)
「熱い風呂で疲れが取れる」という通説のウソ | 健康 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
熱い湯に入ると、体に負担がかかってしまいます。疲れる×疲れる=疲れ回復!みたいなアクロバティックな方法論です。"蜂にさされたらおしっこをかけると治る"みたいなことですわ。
<第14条>
8行目"一通の旅にて~"より現代語訳
「とくに急ぐ旅でなければ、夜道を歩いてはいけません!9日間かかる旅ならば、10日間かかるペースで歩くようにすれば、無理矢理夜道を歩いて行くよりもよっぽど良いでしょう。河止めみたいな事態になっても気持ちに余裕が出てきます。」
江戸時代は電気がありませんから、日没後は松崎しげる並みの暗闇だったと思われます。この当時の懐中電灯の役割を果たしたのは提灯です。でも、今と違ってロウソクは贅沢品であり、一般庶民が気軽に購入できるものではありませんでした。夜道を歩くのは、今以上に危険な行為だったのです。
出典:https://edo-g.com/blog/2016/02/shomei.html
夜の明かりと言えば、月明かりぐらいなもんです。月明かりが大袈裟に描かれていますが、あながち間違いではないのです。ちなみに、夜で歩くなと芦庵さんは言ってましたが上の浮世絵では、普通に出歩いています。東京の新吉原(風俗街)の風景だから仕方ない(´・ω・`)
また、第1回でも解説しましたが、江戸時代は大きな川に橋をかけるのは禁止されていました。幕府に反乱を起こした大名が居た場合、川で足止めさせるために幕府が架橋を禁止したのです。
そのため、大きな川には川渡し屋さんがいて、お金を払って駕籠やかたぐるまをしてもらって旅行者は川を渡っていました。もちろん、川が増水した際には渡れません。これを"河止め"っていいました。河止めを食らうと、余計に日数がかかり費用がかさみます。
<第15条>
3行目"道中は色欲を~"より現代語訳
「旅行中は風俗に手を出すのは止めましょう。遊女は病気を持っているおそれがあります。夏は特に病気が移りやすいです。また、旅館の布団が湿っているときには、香りの強いものをおいて湿気を飛ばしましょう。」
宿場町には、「飯盛女(めしもりおんな)」という遊女がいました。
歌川広重の『東海道五十三次』という東海道の宿場町を描いた版画集の"赤坂宿(愛知県豊川市)"を描いたものです。赤坂宿は飯盛女が多いことで有名でした。
赤〇が今で言うマッサージ師です。青〇がスタンバイ中の飯盛女です。いわゆる客寄せのために各旅館は飯盛女を雇用していました。夕方までは普通に仲居さんとして働き、夜になると‥(´・ω・`)
風紀が乱れまくるので、幕府は『宿1軒に対して飯盛女は2人までね!!』とルールを定めたのですがほとんど守られませんでした(だって、絵の中にすでに3人いるもの)
ちなみに、旅館によっては"1泊2食飯盛女付きプラン!(お酒付き)"みたいな下世話な宿泊プランもあったみたいで、プランの料金は現在の2~3万円くらいだった模様(´・ω・`)
1日40キロ歩いて、それでやるとか江戸時代の男性は体力があったんですね(´・ω・`)
<第16条>
7行目"夏の道中は~"より現代語訳
「夏の旅は喉が渇いて水を飲みたくなりますが、きれいな水を飲みましょう。古池や山水であっても、水が流れていない溜まり水は飲まないようにしましょう。ばい菌がはいっています。五苓散などの薬を持っていき、一緒に飲むといいです。また、山椒や胡椒などは必ず持っていきましょう。山中の湿気を防いでくれます。詳しくは"旅行に持っていく薬"のページをご確認ください」
五苓散(ごれいさん)は現在も売ってますぜ
【第2類医薬品】クラシエ薬品 クラシエ五苓散錠 (180錠) 【送料無料】 【smtb-s】 ツルハドラッグ
身体の水分バランスを整える効能があるみたいです。そして、多分水あたりには効かない気がします。『よっしゃ!五苓散飲んだから最強やで!泥水飲むわwww』とか止めてください(´・ω・`)
4行目から第17条なのですが、この続きは次回の記事で読んで行きたいと思います♪
おわりに‥
このペースだと、1回分の記事でだいたい7条分ご紹介できるっぽいので、全61条÷7=8回+αくらいで書けそうです。個人のブログでやるような作業ではないとは思ってきましたが、まあ暇つぶしにご覧いただければ幸いです。
twitterやってらっしゃる方は、記事をリツイートしてくれると、もう嬉しくて嬉しくて朝も起きれません!!
ツベルクリンのtwitterのフォローはこちらから♪
ツベルクリン@現役添乗員 (@tuberculin0706) | Twitter
読者登録はこちらからお願いしますね