日常にツベルクリン注射を‥

現役の添乗員、そしてなおかつ社会科の教員免許を所持している自分が、旅行ネタおよび旅行中に使える(もしくは使えない)社会科ネタをお届けするブログです♪

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【旅行用心集を読む】(第5回)江戸時代のガイドブックを読むブログ

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【旅行用心集を読む】シリーズは、江戸時代に書かれたガイドブック『旅行用心集』を現代語訳しながら読んでいくシリーズ記事です。その第5回です。

 

 

前回の第4回分はこちらです

www.tuberculin.net

 

 

 

 

『旅行用心集』とは、今から約200年以上前の1810年に八偶芦庵によって書かれた旅行のハウツー本です。それをツベルクリンが所持していますので、現代語訳しながら皆さんに江戸時代の旅行の様子を知っていただこうというのが当シリーズの目的です。

 

芦庵さんは、旅の注意事項を"道中六十一か条"としてまとめています。今日はその第26条目から読んでいきます。

 

 

<目次>

 

 

<第26条>

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1行目"川越ある場所、女子を連立~"より現代語訳

「川越えするところに女性や子供を連れていく場合は、準備をきちんとしておきましょう。女性は男性と違って内気なので、いざ渡る段階になって水が怖くなったり、川渡し屋さんの荒さに驚いてパニックになる人がいます」

「川越えの前日から混雑ぶりや川渡しの様子などを伝えておき、順番待ちの間にも怖がらせないようにしましょう。こういう対応は案内所は受け付けていません。女性や子供はパニックを起こしやすいので、川越えに限らず、水辺や舟渡し、峠越えなどの際は十分注意しましょう。」

 

このシリーズで繰り返し述べていますが、江戸時代は大きな川に橋はかかっていませんでした。ですから川の手前に川渡し屋さんがいて、色んな方法で川を渡してくれるのです。

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出典:https://kotobank.jp/word/輦台-662201

一番安い方法が"肩車"です。女性であろうが肩車です。この状態でパニックになられたら担いでるほうもヤバいです(´・ω・`)

 

 

<第27条>


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3行目"川越、又は舟渡しの場所~"より現代語訳

「川越えもしくは船で渡る際には、持ち物を川に落とさないように気を付けましょう。また、駕籠(かご)で渡る際も留めていたものを落とすことがあります。川に落としたら、まず見つかりません」

 

現代でも1人用リフトとか乗る際は気をつけましょう。なお、京都府の天橋立のリフトにおいて落としやすいものは次のものらしいです

 

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出典:https://kotobank.jp/word/輦台-662201

 

ってか異性同士が肩車なんかで渡ってたら恋に落ちるんじゃ‥(´・ω・)

 

 

<第28条>

7行目"渡場にて、乗合舟に馬~"より現代語訳

「渡し場の乗り合い舟において、一緒に馬が乗ってくることがあります。その場合は、まず馬を先に乗せ、人は後から乗ります。人が先に載ってしまうと、馬が人にびっくりして騒ぎ出す可能性があるからです。それでケガをしてしまうこともあります。また、老人や女性、子供はなるべく馬と一緒に乗らないようにしましょう」

 

現在のフェリーに車ごと乗ってくるような感覚でしょうか?

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出典:roku-go.my.coocan.jp/rokugo-hasi/watasi.htm

無理やり馬も乗せてる感が強いですが、こんな状況で『ヒヒィィィィィィィィィィィィン(´・ω・`)』とかやられたら沈没不可避です。

 

 

<第29条>


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2行目"近道なりとて~“より現代語訳

「近道だからといって船を使うこともあるでしょうが、急がない旅ならば陸地を歩いて行ったほうがいいでしょう。船なら足を休めたり追い風に乗ったりできると有利でしょうが、トラブルが起こった時に後戻りできません。詳細は“船を使う際の注意事項“をご覧ください。」

 

現在の東海地方には江戸時代の頃"七里の渡しというショートカット航路がありました。

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出典:www.tt.rim.or.jp/~ishato/tiri/tenki/t-tokai.htm

東海地方の赤い部分の海に敷かれていた航路を七里の渡しといいます。拡大図は下の地図です。

 

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七里の渡しは、名前の通り七里の距離(一里は約4km、つまり28キロくらい)を海の上を船で行っちゃえという航路です。

 

 

東日本から来た旅人が三重県の伊勢神宮に向かう際に、大変便利な航路でした。運賃は1人片道45文(1文=30~40円、1500円~1800円くらいかな?)でした。

 

現代の常識で考えれば、絶対乗ったほうが良いのですが、芦庵さんは"急ぎの旅じゃなければ船は使うな"と言っています。というのも、この当時の船は帆船であり風や波の影響をめっちゃ受けるのです。

 

こんな感じの舟です

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出典:https://blog.goo.ne.jp/nagoya-jinjya/e/7b3001f5dc20f9e6448bc166807c1c70

28キロの距離ですから徒歩で約7時間。七里の渡しで船に乗れば、何もなければ4時間で行けたらしいです。しかし、逆風だったり波がぐわんぐわん来ると7時間以上かかったようです。そうなるとつまり徒歩>帆船です。

 

船酔いしやすい人もいたでしょう。一回乗るとゴールに着くまで降りれません。ゲロまみれになりながら進まねばなりません。芦庵さんの考えは、舟よりも時間の読める徒歩のほうが良いと言っているのです。

 

 

<第30条>

前ページ8行目"出水の河ハ~"より現代語訳
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「洪水の時は、たとえ小さな川でも安易な気持ちで川を渡ってはいけません。水はもちろん、いろんな物が流れてきてケガをする恐れがあります。また山が近い地域の川は普段は水が少ないので小さな川に見えますが、雪解けの水や夏の夕立後は水嵩も増えるので、常に橋を架けられるわけではありません。冬季に仮の橋を架けたとしても増水が起こると流されます。たとえば、東海道の酒匂川、奥州街道の白沢、大田原とか…」

「特に山の多い地域に(こういういきなり増水する川)が多くあります。川が増水した際は、決して自分で渡らず、また流される寸前の橋を渡らないようにしましょう。私(芦庵さん)は実際に橋ごと流されちゃった人を見たことがあります」

 

芦庵さんがヤバイ川として挙げている酒匂川(さこうがわ)は静岡県と神奈川県の間を流れる川です。江戸時代の酒匂川はこちら。

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出典: https://www.adachi-hanga.com/ukiyo-e/items/hiroshige022/

 

このしょぼい酒匂川ちゃんが暴れちゃうとこんな感じになります(´・ω・`)

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出典:www.city.odawara.kanagawa.jp/darc/item/345/

 

ってか酒匂川ちゃんは現代でも要注意河川らしいです

酒匂川を利用する皆様へ!! - 神奈川県ホームページ

 

 

<第31条>


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1行目"霜雨降りつ々きたる~"より現代語訳

「雨が続くと、土砂崩れが起こることがあります。このような天候の際は、山の近くや川沿いの旅館に泊まることは避けましょう。状況を見極めて判断しましょう。」

 

まあ避けたいんだけど、旅館の客引きさんが強引に連れ込んじゃうのよね~(´・ω・`)

 

 

<第32条>

5行目"道中にて人馬の賃銭~"より現代語訳

「旅行中の馬や荷物運搬賃、旅館代はその都度各個人が自分の分を出すようにしましょう。その時に細かい金額を持ってないとしてもその日のうちに精算しておきましょう。長旅になると、立て替えてあげたお金をメモしておいても、だんだん分からなくなってくるので、こまめに精算しておきましょう」

 

現代の旅でも同じですね。レンタカー代やガソリン代は旅行中に割り勘しておきましょう。

 

<第33条> 


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1行目"道中にて或ハ両三日~"より現代語訳

「旅の途中にて、3日、5日、あるいは7日間と行き先が同じで一緒に歩いているうちにほかの旅人と仲良くなる場合があります。しかし、相手が真面目そうな人物に見えても、一緒に宿泊したり食べ物を交換したり薬のやり取りをするのは避けましょう」

 

特に海外旅行にて、列車の中で席が隣になって、仲良くなった知らない人から食べ物をもらって、実はそれに睡眠薬が入っていて目覚めたら財布が無くなっていたり、身体が縮んで名探偵コナンになったりします。

 

国内旅行においても、一緒に日本一周してた奴が実は脱獄犯だったりします。

【富田林脱走】 「日本一周目指すサイクリスト」になりきり 道の駅で記念撮影も - cyclist

 

 

<第34条>

4行目"道中で馬なき人~"より現代語訳

「荷物を運搬してくれる馬を同行していない旅人が、馬連れの旅人と旅行中に一緒になった場合、その人が知り合いであっても自分の荷物を馬に乗せることは避けましょう。もし、途中で荷物を開けたくなっても、他人の馬なので気軽に開けてもらうことはできません。旅行中は、自分の荷物は自分で運びましょう。

 

徒歩の旅行だと、当然自分の荷物を自分で持って歩かないといけません(なので、この旅行用心集でも"荷物は少なくせよ"とアドバイスしています)。それがめんどくさい人は、荷物を運んでくれる荷馬を雇います

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 出典:https://blogs.yahoo.co.jp/rsjjr083/30943649.html

 

もし、自分がこういう馬を雇ってなくて、旅行中に知り合いや仲良くなった旅人が馬を連れていたら『自分の荷物も‥』みたいに考えちゃいますが、それはやめましょうとのアドバイスです。

 

現在でも、友人のスーツケースの容量に余裕があったら『ちょっとこのお土産一緒に入れてもいい?』と甘えがちですが、たいていそのことを忘れてあとでめんどくさい事になります。自分の荷物は自分で管理しましょう。

 

 

<第35条>

一番最後の行、"道連れはたかだか~"より現代語訳

「同行する旅人は、多くても5~6人が良いです。大勢で出かけるのはよくないです。人数が多いと、人それぞれ考え方が違うのであとから喧嘩になります」

 

現在でも例えば大学のサークルなどで旅行にいくこともあるでしょうが、人数多いとまとまりません。じゃあ40名くらいが一緒に行動するような団体ツアーだとどうなのかと言うと、それはそれで周りに迷惑かけちゃいけない的緊張感があるので、お互いに牽制が働き、意外とやりやすいのです(添乗員がしっかりしてる場合)。人数が少ないと逆に色々文句を言うようになります(´・ω・`)

 

 

<第36条>


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3行目"道連れにすましきものは~"より現代語訳

「一緒に旅をすべきではない人の特徴は、大酒飲み、酒癖が悪い人、短気な人、ぜんそくや持病がある人です。何か起こった時に自分では対応できません。」

 

もちろん、現在では持病や障害があるからといって団体ツアーの参加をお断りすることはありません。ただ、酒癖がわるい人、おまえさんは別だ(´・ω・`)

 

 

<第37条>

7行目"道中路金を所持するには~"より現代語訳

「旅行中の所持金の持ち方としては、額が大きいお金は長財布に入れ体に身につけておきます。その日に使うお金を出すときは、人目につかない所で出しましょう」

 

これは現在でも通用しますね。もっとも、海外旅行に行く場合は『もうクレジットカードでいいじゃん』と思います。ってかクレジットカードがないとチェックインできないホテルさえあります。

 

あと、これは個人的な見解ですが、旅行好きで全国うろちょろする人は、ゆうちょの口座を作ると便利です。郵便局は全国どこにでもあるし、われらがファミリーマートさんはゆうちょの引き出し手数料無料ですわ(´・ω・`)

 

終わりに…

ご覧いただきありがとうございました。

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