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80年前の美容コラムを読んでみる記事【時には昔の雑誌を‥】

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【時には昔の雑誌を‥】シリーズは、ツベルクリン所有の昔の雑誌を解説を入れながら読んでいく記事です。今回は1939年2月12日号『週刊朝日』の特集コラム"美容と栄養"を読んでいきます。

 

『週刊朝日』の前半部分はこちら

www.tuberculin.net

女性なら美容は気になるテーマの1つですよね!1939年2月12日号『週刊朝日」の特集コラムで"美容と栄養"という記事が掲載されていました。80年前の美容論とはどのようなものだったのか、見ていきたいと思います(´・ω・`)

 

<目次>

 

 

 

小麦色>色白の時代

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このコラム記事のテーマは「美しい皮膚を作るには?」というものです。つまり、皮膚さえ美しければいいので、容姿は問わないということです。記事の文章を読んでいきます。

 

「昔から"色の白いは七難隠す"といわれているが、青白い病的の皮膚は封建時代(ほうけんじだい、武士の時代を指している)の美しさでしかない。現代人の皮膚こそは小麦色に生き生きと健康的に輝く美しさでなければならない」

 

 

おっと、いきなり「色白美人」の全否定ですか(´・ω・`)

時代によって、色白のほうが好かれたり、小麦色の肌がもてはやされたりしました。昭和50年代くらいまでは、小麦色の肌をしたアイドルが縦横無尽に駆け回っていたような気がします。昭和60年代ぐらいから、「色白が至高にして最強」説が強くなっていったのかなって思います。

 

ちなみに、このコラムを書いているのは井上兼雄という男性研究員なのです。『井上、お前さんがただ小麦色の女の子が好きなだけだろ?(´・ω・`)』との疑念が沸いてしまうのです。

 

井上氏は続けます。

 

「皮膚の色ツヤは、健康のバロメーターであることは言うまでもないが、極めてわずかな栄養欠陥すら明示する鋭敏なリトマス試験紙でさえある」

「皮膚は恐ろしく正直な奴で、あらゆる不摂生はもちろん、昨夜の呑みすぎから睡眠不足まで、はばからず告白してしまうから始末が悪い」

「だから皮膚を常に美しく保つには、絶えず健康に注意を払い適度な運動をとり、不摂生を慎み過労を避け十分に睡眠をとることである」

 

 

ツベルクリンは色んな美容サイトを見たりするんですが、「適度な運動(ヨガなど)をしましょう」「睡眠不足は美肌の大敵!」みたいな文言が並んでいます。だけど、そんなことは80年前から分かってた話なんですね(´・ω・`)

 

 

 

いきなり"いくら"の話

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睡眠や運動が大切なのは分かった、しかしテーマが「美容と栄養」なのだから栄養学の観点から話をしやがれ、って話なんですが、井上氏は何を血迷ったか"いくら"の話を始めます。

 

「酒飲みの珍重するつまみに"いくら"がある。一粒一粒になったルビーのような鮭の卵が"いくら"である。これを製造するカムチャッカ(北海道よりもさらに北の方のエリア)では、生きのよい鮭の筋子を清い流れで洗いながら、指の先でつぶさないように一粒一粒ばらしていく。」

 

 

この書き方を見ると、当時は"いくら"を食すことがそこまで一般的ではなかったように見受けられます。一般人がいくらを普通に食べるようになったのは1950年代以降であり、当時はいわゆる「珍味」的なポジションで、たまに呑んべえが酒のあてにつまむといった感じだったようです。

 

「この仕事は極めて簡単であるから誰にでもできそうなものだが、不思議にも朝鮮人に限るのである。日本人では一週間と続かないようである。なぜだろうか?」

「カムチャッカの雪解け水は氷のように冷たい。この雪解け水に終日さらす日本人の手は、たちまち霜焼けまたはアカギレになってしまう。そこへいくと、朝鮮人は平気である。では、なぜ朝鮮人の皮膚は強いのだろうか?」

 「それは、毎日ビタミンAを採っているからである。彼らはビタミンAをたくさん含んでいるイクラを、毎日飽きることなく働きながらつまみ食いするからである。ところが日本人は、こんな油っこいものはたくさん食べられない。つまり、日本人はビタミンAが欠乏しているから、皮膚が荒れて乾燥している。皮膚の栄養に一番重要なビタミンはAである。」

 

80年前の日本人は、目の前に大量のイクラがあっても食べる気は起きなかったようです。井上氏は『イクラは最強!ビタミンAを採れるよ♪』と言っていますが、全くもってその通りなのです。

赤い宝石「いくら」は…栄養と美容成分的にも宝石級だった!│NEWSポストセブン

もちろん、ビタミンAも豊富に含まれているんですが、あのイクラの赤色は「アスタキサンチン」という成分の色であり、身体のサビつきを防ぐ役割を持つと言われています。やるじゃん井上(´・ω・`)

 

 

ビタミンAが不足すると‥

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では、井上氏ごり押しのビタミンAが不足するとどうなるのでしょうか?

 

 

 

「ビタミンAが欠乏すると、まず皮膚の光沢が消失してどす黒くなる」

 

 

 

 

つまりこういう状態です(´・ω・`)

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出典:https://www.rbbtoday.com/article/img/2012/06/28/91034/204133.html

 

「ついで、皮膚の上皮は角化して乾燥してくる。つまりビタミンAの欠乏によって皮膚の上皮細胞が変性し、汗腺(汗が出る穴)の機能が悪くなってくるから、水分が失われて乾燥するのである」

「さらにビタミンAの欠乏が高じると、ついには眼に来る。結膜が乾くからまぶたの開閉に不自由を感じ、眼球も乾いて光沢が無くなる。ぱっちりと大きい美しい眼も、魚の目玉のようではかえって気味が悪いというものだ。」

 

ちなみにビタミンAの働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネット より、ビタミンAが不足するとどうなるかについて言及してある文章を引用すると、

ビタミンAが不足すると暗順応障害が起こり薄暗いところでものが見にくくなり、やがて夜盲症になります。また、角膜や結膜上皮が乾燥し、角質化するほか、皮膚や粘膜でも、乾燥、肥厚、角質化が起こります」

 

とりあえず、ダメージが目にくるらしいです。

おおむね80年前と言っていることは変わらないですね~(∩´∀`)

 

 

ビタミンAを多く含む食べ物


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 ビタミンAが身体にいいことは分かった、じゃあ何食べたらいいんだよ?って話ですが、コラムの続きを読んでみます。

 

「まず、ビタミンAの多い食べ物と言えば卵黄とバターであろう。肉類や魚には少ないがイワシ、ニシン、鮭、ウナギなどに相当多く含まれている。野菜や果物にはビタミンAの効力を持つカロチンが含まれている。」

「カロチンは赤黄色の色素であるから誰にでも判別できるのだ。赤や黄色をしているものなら大抵含まれ、ニンジンを筆頭にカボチャ、トマト、唐辛子、柿、ミカンといった種類のものである。」

「また、カロチンの色が緑色に隠されているものもある。ホウレンソウや大根の葉、海苔などに大量に含まれる。ただし、白色の野菜はダメで皆無である」

 

すごいのは、すでに80年前の段階で、明らかにカロチン色しているニンジンだけではなく「実は海苔にもカロチン多いんやで」ということが分かっていたということです。海苔のカロチン含有量は、至高にして最強です。

 

「こんな風に調べてみると、上等な日本食にはビタミンAが非常に少ないことになる。鯛の刺身に白魚の吸い物、スズキの塩焼きにエビの天ぷら、鳥のささ身など続々ともったいぶって運ばれるが、いくら待ってもビタミンAのあるものは出てこない。」

「毎日美食を飽きるほど食べて栄養極めて佳良なはずの上流階級にかえって不健康者が多いのは、ビタミン類が欠乏するからである。そこへいくと、うな丼に玉子汁といったもので満足している中流どころや、イワシの乾物や菜っ葉の漬物をバリバリ食べて満足している労働者の方が多量のビタミンAに恵まれて色ツヤも良く、元気旺盛である」

 

中流以下を馬鹿にしてる感がにじみ出ちゃってますが、ツベルクリンもうな丼と玉子汁で昇天しちゃいます。

 

 

ビタミンB₂も大事だよ

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「いらすとや」のビタミンの充実ぶりは異常(´・ω・`)

井上氏は、ビタミンB₂の皮膚に対する効用についても言及しています。

 

「次に皮膚の栄養に関係のあるものはビタミンB₂複合体である。これが欠乏するとビタミンAと同様に、まず皮膚に色素の沈着が起こり貧血して顔の色つやが悪くなる。時には爪が脱落したり、毛髪も抜けたりする。さらに悪化すると顔や手足に皮膚炎が起こる。」

 「やはり、眼も犯されて角膜炎を起こしたり、水晶体が濁ったりして眼の光沢が失われる。もうこうなっては、どんなに目鼻立ちが立派でも美人とは言えまい」

 

井上氏は、皮膚もそうだけど眼フェチなんですね(´・ω・`)

 

「ビタミン」の存在が発見されたのは、1910年。日本の鈴木梅太郎氏が米ぬかより成分を抽出、"オリザニン"と名付けます。そのオリザニンは、のちにビタミンB₁と名付けられます。

 

鈴木氏の発見以降、1920年代は「新しいビタミンを探そう」競争が白熱、『週刊朝日』が発行された時期は、ビタミンの働きが分かってきた時期なんですね(*´ω`)

 

ビタミンB₂が多い食品は、レバー、ウナギ、卵黄、納豆などです。やっぱり"うな丼と玉子汁"は至高にして最強なのです(´・ω・`)

 

 

ビタミンCも忘れないで

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なんとなく、美容に関係ありそうなのは"ビタミンC"だというイメージが「ビタミンC含有量がレモンのなんと100倍!!!!」という通販番組のレモン過大評価キャッチフレーズのせいでこびりついているんですが、井上氏の見解はどうなんでしょう?

 

「ビタミンCも皮膚の色素に関係がある。皮膚に沈着する黒色はメラニンという成分である(中略)日焼けからくるメラニン色素の沈着はビタミンCによっては防げないが、どす黒い皮膚はビタミンCを多量に含む柑橘類を毎日たくさん食べることによって漂泊することができる。」

「また、ビタミンCが欠乏すると、皮膚に紫色の斑点(たぶんそばかすの事)が出来てくる。それで顔に斑点やシミを作らないようにするためにはビタミンCの補給を怠ってはならない」

 

日焼けによってメラニンが沈着するってことも80年前には分かっていたのです。井上氏は"日焼けからくるメラニン色素の沈着はビタミンCじゃ効かない"と言っていますが、実は日焼け予防にも効果があるとされています。

日焼け予防にも焼けた肌にもビタミンC|ひらのっちの「栄養素って何なのさ?」|こちらわかさ生活情報局|わかさ生活

 

でも、井上氏は冒頭部分で『現代人の皮膚は色白より小麦色』と、小麦フェチを告白しています。「俺は小麦肌フェチだ!でもシミとかそばかすとかあるとダメ!」というワガママな心情を持ちながらこのコラムを書いていたのでしょう。

 

ビタミン類が欠乏するとどうなるのか、最後のまとめで井上氏は、こう締めています。

 

「(ビタミン類が欠乏すると)美しかった彼女も皮膚はしなびて、歯は抜け、毛髪は薄くなり、無残にも若くして老人の様相をおびてしまうのである」

 

らしいです(´・ω・`)

 

 

まとめ

ご覧いただきありがとうございました!!80年前の美容コラムは、現在でも読んでためになるものでしたね(´・ω・`) 次の【時には昔の雑誌を‥】シリーズは『週刊朝日』の後編をお届けします♪ ぜひご覧ください。

 

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