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現役の添乗員、そしてなおかつ社会科の教員免許を所持している自分が、旅行ネタおよび旅行中に使える(もしくは使えない)社会科ネタをお届けするブログです♪

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【保存版】90年前の女子高生が使ってた若者言葉を調べました

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【保存版】シリーズは、筆者であるツベルクリンが色々なジャンルの有益かつ無益な情報を書いていくシリーズ記事です。今回のテーマは「90年前の女子高生が使ってた若者言葉を調べました」です。

 

俗に「若者言葉」と呼ばれている言葉ってありますよね。最近だと「ぴえん」みたいなやつ(意味→泣くこと)。

ぴえん - Wikipedia

 

若者言葉が流行ると主に中高年の世代の方から『若者言葉を使うとはけしからん』『日本語が乱れている』みたいなお叱りを受けることがあります。

 

でもね、若者言葉って結構昔も存在していたものです。「ヤバい」「マジ」などのフレーズの語源は江戸時代くらいまでさかのぼるとも言われています。

 

今回のこの記事では、今から90年前ほど前の昭和初期時代において、主に女子高生の間で流行っていた若者言葉をいくつかご紹介していこうと思います。その根拠としたのが、1928年(昭和3年)10月発行の『少女画報』という雑誌の1コーナー、「現代東京女学校新流行語集」です。

少女画報 - Wikipedia

 

『少女画報』とは、1912年~1942年の間に発行されていた少女向け雑誌です。その1928年10月号において、当時の若者言葉を特集した記事が掲載されていました。そこで掲載された若者言葉を解説とともにご紹介していきます。

 

 

現在の教育制度は小学校6年・中学3年・高校3年の「6・3.・3制」ですが、戦前の教育制度はいくつかの進路に分かれていました。義務教育は小学校までの6年間のみであり、その後中等教育以上の課程を学びたい者は受験の必要がありました。

 

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中学以降は完全に男女別学であり、進学を希望する女子のほとんどは4年制の「高等女学校」に進学しました。この高等女学校が現在の女子高にあたります(厳密に言うと中学&高校)。経済的な負担もかかるので、昭和初期の高等女学校への進学率は15%ほどしかありませんでした。女子高生になれるってことは、かなりのエリートだということになります。

 

 

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出典:高等女学校 - Wikipedia

 

 

用語の下に語源や解説を載せていますが、あくまで一説を掲載しているだけであり、言葉の由来は様々あること(諸説ありっていうやつ)を念頭に置いていただけると幸いです。

 

 

 

<1928年(昭和3年)の女子高生言葉(若者言葉)集>

 

〇アナウンサー

ラジオのアナウンサーから、何でも噂して告げ口する人のことを指す。『あの人アナウンサーで困っちゃうわ』。

 

 

〇イシンデンシン

いわゆる「以心伝心」という言葉の意味で使われていましたが、当時は一歩進んで「以心伝心な相手(恋人)」のことを指しました。

 

 

〇イミシン

現代でも「意味深な言葉」のように使いますが、元々は「意味深長」の略語。意味深長を「意味深(イミシン)」と言い出したのは、どうやらこの時代のようです。

 

 

〇オジャン

江戸時代において、火事が鎮火すると鐘を打ち鳴らして鎮火したことを伝えていました。ジャンジャン打ち鳴らしたので、鎮火することを"オジャン"と呼ぶようになったようです。

 

やがて大正~昭和期になると、女学生たちが授業終了の鐘がなると『授業がオジャンになったわ』と言うようになりました。そこから、「終わる、ダメになる」という意味で使われるようになりました。

 

 

〇おもくろい

「面白い」ことをちょっとくだけた感じで言う時に『今のは面黒かったわ』などと言っていました。

 

 

〇カメレオン

心変わりが激しい人。『あの人を信用しちゃダメよ。カメレオンだから』というように使っていました。

 

 

〇ゲル

お金のこと。ドイツ語でお金を「Geld(ゲルド)」というところから由来している。

 

 

〇コンマ以下

頭の悪い人を指す言葉。

 

 

〇ざくばら

「ざっくばらん」の略語。『ざくばらに話してよ~』というように使います。

 

 

〇サイノロジー

奥さんに甘い旦那のこと。心理学のサイコロジーをもじって生まれた単語。「サイノロ」とも言った。

 

 

〇サンドウィッチ

男女間の三角関係のこと

 

 

〇少納言

文才があることを自慢する人。平安時代の随筆家、清少納言から来ている。

 

 

〇シャッポ

ダメだったという意味。シャッポとはフランス語で帽子を指します。謝るときに帽子を脱ぐことから生まれた意味。すこし時代が下ると、同じような意味で『シャポる(謝る)』という意味が生まれてきます。

 

 

〇シャン

美人のこと。ドイツ語の「schön(シャン)」から来た言葉。めっちゃ美人の女性を「すこシャン(すこぶるシャンな人)」とも言いました。逆に「ウンシャン」で、容姿が悪い女性という悪い意味に。

 

 

〇ズべ公

不良少女のこと。「ずぼら」と同じ意味を持つ「ずべら」から来ている。

 

 

〇センチ

悲しむこと。センチメンタルから来ている。なお、時代が下って70年~80年代には「おセンチ」という言葉に変容しました。

 

 

〇たなおろし

人の悪口を言う事。商店などが行う「棚卸し」をするときは、商品を1つ1つ細かくチェックしていくことから、「人のあら捜しを細かくする」という意味で「たなおろし」とも言うようになりました。

 

 

〇ダンチ

段違いの略語。比べ物にならない、という意味。「私とあなたでは成績がダンチだわ」

 

 

〇テクシー

乗り物に乗らずに歩くこと。タクシーをもじった言葉。

 

 

〇チョンガー

独身の男性教師のこと。朝鮮語からの引用。

 

 

〇ドロップ

成績が悪くて落第すること

 

 

〇なま

生意気な人のこと。『あの子出来もしないのにナマ言ってるわ』

 

 

〇ニヤリスト

にやけ笑いをする気持ち悪い男の人を指す言葉。

 

 

〇ポツネン

孤独な様子を指す言葉。

 

 

〇ペット

飼育動物のペットから、先生に可愛がられる生徒を揶揄する言葉。

 

 

〇モチモチ

「もちろん!」と言う言葉を大げさに言った表現。

 

 

〇よたる

嘘をつくこと。落語の世界で登場する与太郎という嘘つきな登場人物から、「嘘=与太」となり、「よたる」という表現が生まれた。また、嘘をつくひとを「ヨタリスト」とも呼んだ。

 

 

 

終わりに…

これらの言葉は、もし現在生きていれば110歳前後のおばあさんが女子高生の時に流行った言葉です。現代の私たちのイメージとしては、90年以上前の女性は"良妻賢母"的な、奥ゆかしい存在だったであろうと想像しがちですが、意外とアグレッシブでナウい思考を持っていたようです。

 

言葉というものは、時代によって変わっていくものであり、決して不変のものではないのです。もちろん、若者言葉を仕事などの公の場面で使うのは憚られますけど、「若者言葉=言葉の乱れ」と決めつけてしまうのは早計な気がするのです。100歳以上の人に向かって『あなたの言葉だって乱れてますよね?(*'ω'*)』とか煽る人はいないと思いますしね。

 

ですから、若者言葉を使う若者に対しては、『大人になるための通過儀礼だな』くらいに寛容な気持ちで年長者の方は思って頂けると幸いです。90年前も今も若者は若者言葉を使っていたのですから‥(*'ω'*)

 

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