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【完全保存版】元教師が教える保護者が知っておくべきいじめ対応マニュアル【わが子がいじめに遭った時…】

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読者の皆様の中には、小学生~高校生のお子さんを持つ保護者の方も数多くいらっしゃると思います。自分の子がもし、「いじめ」に遭っていたとしたら‥保護者のあなたはどうしますか?

 

 

以下のグラフは、近年のいじめの認知件数を示したグラフです。

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出典:https://www.sankei.com/

 

ご覧のように、特に小学校でいじめの認知件数が増えています。勘違いして欲しくないのは、このグラフはいじめの"認知件数"を示しているのであって、決して"発生件数"ではないという点です。以前は、いじめと認識されなかったような状況が、現場の先生の努力や法律の整備などによって、積極的に認知され早急に対応が打たれているということを示しています。

 

とは言え、2018年(平成30年)時点で、小学校におけるいじめ認知件数は42万5844件とかなりの数になっています。日本の小学校(国公立&私立)の総数は約2万校ですから、単純計算すると1校当たり年間20件のいじめが発生(認知されているだけ)していることになります。

 

これほどいじめが認知されているのに、わが子がいじめに遭った時に、どのように対応すれば良いか分かっている保護者の方は意外と少ないのではないかと思います。いじめに無関心でいると、いざわが子がいじめに遭った時に、その対応に苦慮することになるでしょう。そればかりか、間違った対応をしてしまうと、いじめをより複雑にしてしまうかもしれません。

 

今回は、元中学校教師の私が、子供がいじめに遭った時に保護者が取るべき対応策をまとめました。ご参考にしていただければ幸いです。

 

 

<目次>

 

 

 

 

いじめの定義

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そもそもどのような行為や状況が「いじめ」と言えるのでしょう?いじめについて、文部科学省が明確にその定義づけを行っています。

 

 

「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係にある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」とする。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。

出典:文部科学省【児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査における定義】平成25年度版

 

 

ポイントとしては

 

  • いじめた側の理由は一切問わない
  • インターネット上(SNS等)のいじめに言及
  • 精神的な苦痛はもちろん、頭痛や腹痛などの身体的ダメージにも言及

 

が挙げられます。よくいじめた側の言い訳として『ふざけているだけだった』『いじめているつもりは無かった』みたいなセリフを吐き出しますけど、そんなの一切関係無いのです。あくまで被害者側の感情が重要なのです。

 

いじめの定義は時代によって変わってきました。例えば、昭和61年版の「いじめの定義」は以下のようなものでした。

 

「①自分より弱い者に対して一方的に、②身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、③相手が深刻な苦痛を感じているものであって、学校としてその事実(関係児童生徒、いじめの内容等)を確認しているもの。なお、起こった場所は学校の内外を問わないもの」

出典:文部科学省【児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査における定義】昭和61年度版

 

令和の時代になって、この昭和期の定義を見返すと、不十分であることがよく分かります。だって、「学校としてその事実(関係児童生徒、いじめの内容等)を確認しているもの」という恐ろしい文言が入っていたんですよ。つまり、いじめを苦に自殺した児童や生徒が出たとしても学校側が『いじめの存在は確認できなかった』とかほざけば、それで終わってたんですから。

 

 

いじられている子の兆候

 

いじめに遭っている子のほとんどは、自分からいじめに遭っていることを告白しようとしません。いじめに遭っていることは、子供からしたら屈辱的で恥ずかしいことであり、親に迷惑をかけたくない、という気持ちも働くからです。

 

しかしながら、いじめられている子は保護者に向かって何らかのサインを出していることがあります。保護者は子供からのサインに気付けるかどうかが大切になってきます。ここからは、いじめに遭っている子に見られがちな兆候をいくつかご紹介していきます。

 

一緒の遊ぶ相手が誰なのかを言わない

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それまでは『〇〇君と遊んでくる』『〇〇ちゃんの家に行ってくる』と具体的な遊び相手の名前を親に伝えていた子供が急に『友達と遊んでくる』と、ぼやかして言ってくるようになったら要注意です。

 

そこで親が『誰と遊ぶの?』と聞いたときに『誰でもいいでしょ!』と反発してきたら、ちょっといじめを疑ったほうがいいかもしれません。誰と遊ぶのかを明確にしない時は、その関係性(いじめの加害者と被害者)を隠しているのかもしれません。

 

 

頻繁に『物をなくした』と言ってくる

1回、2回ならばただのミスということも考えられますが、短時間に何回も物をなくしたと言ってきた場合は、ちょっと不自然ですね。

 

この場合は、いじめの加害者から物を盗まれたり、壊されたりしている可能性があります。でも、それを素直に白状したくないので『なくした』という表現をしてくるのです。

 

 

学校の成績が低下してきた

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それまで優秀な成績を収めていた子が、急に成績が低下したならば、いじめを受けている可能性があります。いじめのストレスで勉強が手につかないのです。

 

もちろん、単純に勉強をサボっているケースも考えられます。ただ、理由がはっきりしないのに成績が低下したとの理由で子供を叱るのは良くないです。いじめと親からのプレッシャーでいよいよ子供の精神が疲弊してしまいます。

 

ごく稀に『いじめに負けるもんか!』と意気込んで、いじめの被害者なのに成績がアップする子もいます。ただ、あくまでごく稀です。

 

 

頻繁にお小遣いを要求するようになった

これも、先ほどの「よく物をなくす」と似ています。もしかするといじめの加害者から金銭を要求されているかもしれません。

「金持ってこないと遊ばない」といじめ 同級生に要求され小5が10万円超渡す

 

たいていの親は、お小遣いの要求は突っぱねると思います。そこで素直に引き下がればいいのですが、いじめられている子としては、お金を用意しなければさらにいじめられるので、親に暴力を振るってお小遣いを得ようとするケースもあります。もしくは、親の財布から金を盗み取るかもしれません。

 

 

授業参観に来ないで、と言ってくる

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授業参観や運動会、学芸会などの学校行事に親が見学しに来ることを拒むケースです。学校での自分の姿を見せたくはないのでしょう。

 

もっとも、思春期になってくると親が学校に来ることが恥ずかしいと思う子も出てきます。そのあたりの判断が付きにくいので、あくまで疑うサインの1つということにしておきましょう。

 

 

弟や妹をいじめるようになる

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これは、学校でいじめを受けている腹いせで弟や妹をいじめているのかもしれません。自分がいじめられると今度は自分より弱い立場にある人を攻撃してしまうのです。中学生や高校生の特に男子の場合なら、その攻撃が自分の母親に向かう可能性もあります。

 

 

リビングで宿題をしようとしなくなる

それまで勉強をリビングなどの家族の目の届く部屋でやっていた子が、急に自分の部屋にこもるようになることがあります。もしかすると、教科書やノートに落書き(もしくは破られている)されているかもしれません。

 

 

リビングでスマホを使わないようになる

最近は小学校高学年からスマホを持つ子が増えてきました。そのスマホを隠れて使うようになったら、LINEtwitterなどのSNS上でいじめにあっているかもしれません。もしくは、いじめに関するページを調べて、自分なりの解決方法を探っているのかもしれません。

 

どちらにせよ、"スマホを見られては困る"から人目を避けてスマホを使用するようになるのです。その場合は、注意が必要です。

 

 

以前は熱中していたゲームをやらなくなる

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以前はゲーム好きだった子が、急にゲームをしなくなった場合はもしかするといじめがかなり深刻な状況まで進行しているかもしれません。もはや、楽しいはずのゲームが出来ないほど心が疲弊しているかもしれないのです。

 

 

急に明るく振舞うようになった

自分がいじめられいることを隠すために、あえて家族の前では気丈に明るく振舞う子もいます。

 

いじめを受けているのに明るく振舞うなんて精神的に強い子だ!と思われるかもしれませんが、そうではなくてもはや"悟り"の領域に達してしまっているかなり末期的な状況です。早急に対処しなければ、取り返しのつかないことになってしまうかもしれません。

 

もっとも、人間的に成長してその結果明るい子になっているだけなのかもしれません。他の行動も観察して総合的に判断する必要があります。

 

 

わが子がいじめられている事に気付いたら…

 

子供からの告白やサインなどに気付いて、子供がいじめを受けていることが分かった場合、保護者はどのように子供に対し接していけばいいのでしょうか?その接し方や対応について考えていきます。

 

 

ダイレクトにいじめに関して聞かない

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『もしかしてわが子はいじめに遭っているかも…』と思い当たったとしても、いきなり『学校でいじめに遭ってるんじゃないの?』とダイレクトに聞いてはいけません。よっぽど保護者と子供の関係が出来ていない限り、『別に…』としか答えてくれないでしょう。

 

子供から話を聞こうとする際は、より具体的にアプローチしていく必要があります。そのためには、子供に違和感を覚えたときから子供の様子を観察するのです。『〇〇くん(〇〇ちゃん)の話を出すと表情が暗くなったな…』『塾に行くときに行くのを躊躇するな…』と、子供のサインに気付くことがあるかもしれません。

 

子供の行動を観察したうえで、『最近塾で何かあったの?』『最近〇〇君(〇〇ちゃん)と何かトラブルでもあったの?』などと具体的に子供にアプローチすると、具体的な分、子供も何か答えてくれるかもしれません。

 

 

子供の言うことを絶対に否定しない

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子供からいじめに関して話を聞くときには、絶対に子供の言うことを遮ったり否定してはいけません。子供の立場からすれば、保護者から否定されると、もう頼るべき人がいなくなることを意味します。その先に待っているのは最悪の結末です。『いじめられているお前も悪い』『あなたにも悪いところがあったんじゃないの?』などとは絶対に言ってはいけません。

 

言っていけないだけではなく、心の中で『この子にも何か原因があったんだろうな…』と思う事さえNGです。子供は、意外と大人の心の中まで見透かしています。子供の言うことは基本的には全肯定で構いません。一般論とかは関係なく、いじめられている子がどう感じているかが、いじめ問題では重要なのですから。

 

 

5W1Hをはっきりとさせる

いじめが発覚した場合、学校へ相談する必要があります。しかし、いじめに関する証言が曖昧だと、学校側から『しばらく様子を見ましょう(特に対応はしない)』とかわされたり、『それは気のせいではないですか?』『考えすぎですよ』と逆に言われてしまう可能性もあります。いじめの事実確認はより具体的に行うべきです。

 

子供からいじめに関する聞き取りをする際に意識したいのが「5W1H」です。

 

  • いつ(when)
  • どこで(where)
  • だれが(who)
  • なにを(what)
  • なぜ(why)
  • どのように(how)

 

どのようないじめが行われているか、5W1Hに沿って確認していくのです(一方的ないじめの場合は、「なぜ」に当たる理由は存在しないかもしれません。ただ、面白がっていじめている場合がほとんどだからです)。

 

 

ネット上のいじめはスクリーンショットを

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私が中学&高校の時(2005年前後)におけるネットいじめは、メールでの暴言や「学校裏サイト」と呼ばれる掲示板を通じての嫌がらせが多かったです。現在では、そのようなやり方は無くなっており、代わりにtwitterLINE上など、SNS上でのいじめに移行しています。

 

それらは十分な証拠となるので、必ずスクリーンショットを撮っておきましょう。もし、スクリーンショットの画像を保存しておくことが精神的なストレスになるならば、保護者のスマホに転送して、子供のスマホからは消去しましょう。

 

スクリーンショットを撮る場合は、出来限り日にちと時間が分かるように撮りましょう。そのほうがより具体性が増します。

 

 

取り巻きを味方につける

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いじめの事実確認を進めるにあたって、もちろんいじめられている被害者本人の証言が最も重要になってくるのですが、その証言をより確固たるものにするためには、第三者の証言が得られれば望ましいです。ここでいう第三者とは、どのような立場の子でしょうか?

 

多くのいじめは、被害者1人に対し複数の加害者で行われることが多いです。その関係性を示したのが上の図です。

 

被害者といじめる側のリーダー格は1人ずつ、リーダーのすぐ近くで積極的にいじめを煽る「観衆」が4~5人程度、さらにその周りでいじめを黙認している「傍観者」が十数名います。

 

いじめの事実を確かめる際、例えばいじめの加害者(と思われる子供)にアプローチをかけたとしても『やっていません』『ふざけていただけです』としらばっくれる可能性もあります。観衆ポジションの子供も同じ対応をされる可能性があります。無能な先生だと、そのセリフを聞いて『よし、このクラスにいじめは無いな!』と早合点する可能性もあります(ギャグじゃなくて本当にそういう先生いるんです‥)。

 

なので、探りを入れるとしたら、傍観者たちです。傍観者にも「見て見ぬフリをしている子」と「助けてあげたいけどどうしたらいいか分からない子」の2種類います。その中でも後者の子は、いじめの証言や証拠を出してくれる"第三者"になってくるのです。

 

現代のいじめの主流はSNS上で繰り広げられます。具体例を出すと、いじめの被害者が入らせてもらえないLINEのグループ上で、被害者に対する悪口やいじめの指示が飛びかっていることがあるのです。

 

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LINEの裏グループに入っているメンバーの中でも、実行犯的な役回りの子もいれば『協力しないと今度は自分がいじめられる…』と本心で無いけれどもいじめに加担してしまっている子もいます。被害者だってクラスの人間関係や力関係をおおむね把握しているはずなので、傍観者的立ち位置の子を見つけるのはそんなに難しいことではありません。

 

出来れば、直接アプローチをかけるよりも、被害者(そして被害者の親)と傍観者を仲介してくれるような子を別のクラス(部活内のいじめならば違う部活の子)から探し出して、話を聞いてみるといいでしょう。もちろん、傍観者もいじめを告発したことがバレると今度は自分が標的になるのでは…と恐れを抱いていますから、『決してあなたの名前は出さないから』と念押ししましょう。

 

そのうえで、被害者が知り得なかった裏の情報(裏LINEグループなど)を証拠として掴むのです。(裏グループLINEの画面を写メらせてもらいましょう)。 

 

もっとも、傍観者たちへの接触に関しては、学校に相談後、先生たちと協力して行うほうがスムーズかもしれません。

 

 

学校への相談の手順

 

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わが子がいじめにあっていることを確認し、ある程度の証拠も揃えた時点で、初めて学校へアプローチをかけます。ここで保護者側が気を付けておきたいことを押さえていきます。

 

 

まずは電話でアポイントメントを取る

保護者側が絶対にやってはいけないことは、学校側とアポイントを取らずに、いきなり学校へ乗り込むことです。これをやってしまうと問題はこじれてしまいます。

 

保護者側にとってもっとも避けたいことが、学校側から"モンスターペアレント"呼ばわりされることです。学校側にいじめ解決を要求することは、決して理不尽な要求ではないのですが、いきなり学校側に乗り込まれると先生側は戸惑ってしまい『あの子の親はモンスターだ』と認定されてしまうかもしれません。そうなると、学校側は聞く耳を持たなくなってしまいます。

 

さて、電話をかけるタイミングです。私見ですが、最初の電話は担任が授業中等で電話に出られないような時間帯にかけてみましょう。授業中にかかってくる学校への電話は大抵、教頭や副校長(2008年以降新しく副校長が置かれるようになっています)あたりが受話器を取ります。まずは、担任に話を通す前に学校の上層部にいじめの存在を認識させるのです。まともな上層部であれば、いじめの存在を学校全体で共有しようとするはずです。

 

仮に、担任が不在もしくは授業中でも、たいていは『後から担任より電話させます』と引き継がれると思います。ワンクッション置くことで、担任もある程度頭の中を整理させてから保護者と話すことが出来るのです。

 

 

基本的には大人だけで面談する

まともな先生なら、電話で保護者がいじめの存在を匂わせてきたら、会って詳しく話を聞きたいと思うはずです。もし、会うことを拒むようならば、ここで初めて『電話で終わる話では無いので一度お会いできませんか?』などと少し強硬的な態度に出てもいいです。

 

面談ですが、基本的には大人だけ(先生と保護者)で行います。最初の面談の段階では、はっきりといじめがあった事実が確認できていないことが多く、話し合いの行く末が不透明だからです。そんな場に子供を同行させるのは、望ましいことではありません。

 

最初の面談時点では、学校側もまだ十分な証拠集めが出来ていないと考えられます。なので、1回目の面談で即『いじめが存在している』と学校側が認めることはあまりありません。おそらく『今後さらに調査を進めます』くらいの返答で終わるかと思います。

 

もし、早急に命の危険が差し迫っていない状況であれば、この返答を得られた時点で、とりあえずは学校側の動きに期待しましょう。この面談の際も、決して保護者側は感情的になってはいけません。よく父親が『学校に怒鳴り込んでやる!』と息巻く光景を見ますけど、まずはいじめの被害を具体的に提示していく事が大事です。いじめ問題は、力技だけでどうこうできる問題では無いのです。

 

 

 

担任が動かない場合は校長へ

担任(部活動内のいじめなら顧問)にいじめを相談しても、『様子を見ましょう』程度の反応しかしてくれなかったときは、いじめの情報や証拠を持って校長へ相談してみてもいいでしょう。校長が本気でいじめ問題に取り組めば、たいていのいじめ問題は収束に向かいます。

 

そして、前述したように、担任へのアプローチは教頭や副校長を経由して行う方がスムーズです。教頭や副校長の耳に入れば、担任はもちろん、校長へも話が行く場合が多いからです。

 

 

校長が動かない場合は…

さて、世の中にはひどい学校もあるもので、校長にいじめの情報が伝わったのに、具体的な対応を取らない学校も一部には存在します。

呆れた校長の言い訳…いじめ被害者の訴えを無視する学校との戦い - ライブドアニュース

 

学校が動かない場合どうするか。まず思いつくのが、教育委員会に訴えるという方法です。公立学校の場合、小中学校は各市町村の教育委員会、高校は各都道府県の教育委員会の管轄にあります。教育委員会へ訴えれば、学校も動かざるをえないように思えます。

 

ところが、現実は教育委員会が出てきたところで、事態が好転するとは限りません。というのも、教育委員会は、各学校の校長からの要請を受けてから動く場合がほとんどだからです。校長がいじめ問題に本気で取り組もうと思っていない限り(つまり教育委員会へいじめ解決への協力を要請しない場合)、教育委員会も本腰を入れて動くことはあまりありません。

 

以前、校長や教頭などの管理職をやっていた人が異動で教育委員会へ移ることもあれば、逆に教育委員会に属していた人が校長として赴任することもあります。両者の関係はどちらかというと持ちつ持たれつの関係なのです。教育委員会が各学校にビシバシ指導をしていく光景はあまり見られないかもしれません。

 

では、どうするか。学校が頼りにならないときに出来る1つのアプローチが、各市町村に設置されている人権擁護委員に対し、いじめによる人権侵害を受けていると告発することです。

人権擁護委員 - Wikipedia

 

人権擁護委員とはどんな職種なのでしょう。wikipediaの説明文を引用します。

「人権擁護委員は、国民の基本的人権が侵犯されることのないように監視し、もし、これが侵犯された場合には、その救済のため、すみやかに適切な処置を採るとともに、常に自由人権思想の普及高揚に努めることをその使命とする公職である」

 

 

とあります。学校や教育委員会は文部科学省の管轄です。一方で人権擁護委員は法務省の管轄になります。日本においては、各省庁の縦割り行政が批判されているところではありますが、逆にこの縦割り行政状態を利用するのです。各省庁とも、違う省庁から突っ込まれると無視しにくくなります。法務省管轄の人権擁護委員から、文部省管轄の学校へメスを入れてもらうのです。

 

 

身体や金銭的な被害が生じている場合は警察へ

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いじめがエスカレートすると、暴力を振るわれたり金銭を奪われたりします。そこまで行くと悠長に構えている暇はありません。暴力を振るわれたらそれは傷害罪、金銭を取られたら窃盗罪恐喝罪になります。さらに、ネット上に悪口や性的な写真をばかまかれた場合、それは名誉棄損になります。これらは、いじめというより犯罪です(そもそもいじめ自体が犯罪なんですけどね)。

 

学校があてにならず、なおかつ明らかな被害が出ている場合は、警察に通報するべきです。加害者が子供であろうと、ここは容赦してはいけません。

 

警察署に出向くと「生活安全課」という課が設置してあるので、ここにアポイントをとって相談してみるといいでしょう。すぐに被害届を出すまでにはいかないかもしれませんが、警察にも根回しをしておくのは得策です。

 

もし、警察に相談に行ったことが加害者側にバレたとしても問題ありません。『よくも警察に通報したな!』と怒る加害者の子供なんてそういません。たいていはビビります。警察に相談&通報することで、それがいじめを自制する動機付けにもつながるのです。

 

 

 

いじめられた子へのケア

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いじめが発覚し、学校へのいじめ対応を求めると同時に、いじめられた子へのケアが必要になってきます。保護者は、いじめられたわが子に対し、どのように接していけばいいのでしょうか。そのケアについて考えていきます。

 

 

とりあえず学校を休ませる

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基本的にいじめに遭っている子は、精神的にかなり疲弊しています。そんな精神状態で学校へ行っても良いことはありません。とりあえずいじめからわが子を守るために、学校を休ませるのです。

 

一昔前までは、学校を休みさえすれば、いじめからある程度は解放されていました。わざわざ家に来てまでいじめる子はいないからです。ところが、携帯電話の普及によっていじめは学校外の生活にも忍び寄ってきたのです。十数年前はメール、現在はSNSを通じて侮辱的な言葉を投げつけられることもあるのです。

 

なので、学校を休ませると同時に携帯電話も保護者が預かっていいのではないかと思います。まずは、いじめ行為が及ぼない状態にするのです。

 

 

保健室登校や転校も考える

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いじめが完全に解決し、以前と変わりなく登校できるようになればそれがベストなのですが、精神的に疲弊してしまってもはやそれまでの学校生活を送ることが困難になってしまうことも考えられます。この場合、保護者といじめられた子が考えておくべき選択としては「保健室登校」と「転校」があります。

 

いじめを受けて学校を休みがちになってしまった子を、いきなり教室に入れようとするのは、酷な事だと思います。保健室登校とは、家と教室の間に保健室というワンクッションを挟むことで、段階的に学校へ復帰していこうとする策です。

 

保健室登校のメリットは、

  • 出席日数にカウントされる(欠席扱いにならない)
  • 保護者が家を空けても大丈夫(仕事を休む必要が無くなる)
  • 『自分は学校に来ている』という肯定感が生まれやすい
  • 『最悪保健室にまた戻ればいい…』という安心感があるので、教室に行ってみようかなと思える

 

保健室には養護教諭(保健室の先生)がいますが、もちろんずっと付き添えるわけではありません。それでも、子供にとって(保健室でも)登校しているという事実が積み重なっていくので、『学校に行かなければ…』という精神的プレッシャーも軽減されるのです。

 

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保健室登校も難しいほどわが子がダメージを受けてしまっている場合、「転校」も選択肢に入ってきます。

 

転校、と聞くと『家族まるごと引っ越ししないと転校は認められないのでは?』と思う保護者の方もいらっしゃるかもしれませんが、いじめが原因の転校に関しては、引っ越ししなくても転校は認められます。

 

学校教育法施行令第8条に基づく就学に関する事務の適正化等について(通知):文部科学省

文部科学省が2007年(平成19年)に通知を出しました(上のリンク)。その中で、こう言及されています。

 

"いじめへの対応について、市町村の教育委員会においては、新入学時であるか学年の途中であるかにかかわらず、当該保護者から自発的に変更の申立があるなど深刻ないじめの場合には、時機を逸することのなく十分配慮すること。"

 

 

転校してしまえば、良くも悪くもそれまでの人間関係はリセットされます。クラス全員がいじめに加担しており、同じクラスへの復帰が難しそうな場合は、転校も検討しましょう。

 

もちろん、自宅からあまり離れていない学校へ転校する方が子供や送り迎えする保護者の負担になりません。どの学校へ転校するかは保護者から希望を出せるので、まずは学校へ出向き校長や教頭と面談してみましょう。管理職がいじめ問題にどう向き合っているかで、その学校の"質"がある程度分かります。

 

 

外部の相談窓口に相談してみる

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家庭内だけでいじめ問題に対応していくことは、子供にも保護者にも大きな負担となっていきます。学校も頼りならず、困ったときには外部の相談窓口に問い合わせてみるのも手かもしれません。

 

政府関係では、文部科学書と内閣府がいじめの相談窓口を設けています。

 

子供(こども)のSOSの相談窓口(そうだんまどぐち):文部科学省

児童虐待、いじめ、ひきこもり、不登校等についての相談・通報窓口 - 内閣府

 

 

NPO法人では、「ストップいじめ!ナビ」が相談窓口を設けています。

子どものための相談窓口 | ストップいじめ!ナビ

 

 

 

 

終わりに…

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よく、『いじめに負けるな!』とか『いじめに立ち向かえ!』とか言ってくる方々がいます。でもね、いじめは勝負じゃないんだから勝ち負けとか関係ないですし、そもそも何でいじめに立ち向かわなきゃいけないんですかね?

 

いじめと闘う必要なんてないんですよ。だって、場合によっては命に関わる問題なんですから。まずは、子供をいじめから逃がしてください。そして、大人である親が精神的なシェルターとして子供を守ってあげてください。命を失ってからでは、遅いのですから‥。

 

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