【ざつだん!】シリーズは、私ツベルクリンが日々考えていることを垂れ流していく日常系記事シリーズです。今回のテーマは、「添乗員になりたい人に思いとどまるよう説得する記事」です。
以前、添乗員の仕事内容についてお話しした記事があります。
私は現役の添乗員です。添乗員と聞くとあちこち行けてとても華やかな職業っぽく見えます。それを示すかのように、就職人気ランキング(文系)の第1位はJTBです。
今回のこの記事は、旅行業界(特に添乗員)に憧れを抱いている人や、就職を希望している人に、やめるように説得する記事です。もし、周りにそういう人がいたらこの記事を見せて、説得してくださいね♪
<目次>
添乗員の99%は"派遣社員"
まず、言っておきたいのが、この世の添乗員の99%は派遣社員ということです。正社員の添乗員は、ほぼ皆無です。
世の中には、「旅行会社」と「添乗員派遣会社」が存在しています。旅行会社とは、JTBとか日本旅行とかクラブツーリズムとか皆さんにも馴染みがあるので分かりやすいでしょう。
添乗員派遣会社とは、、人材派遣会社の一種であり特に添乗員の育成に特化している会社を指します。知られていないだけで、添乗員派遣会社はそこそこの数があります。私ツベルクリンは、この添乗員派遣会社に登録しているのです。
両者の関係性を図に示すとこんな感じです
ですから、『添乗員になりたい♬』と思って例えばJTBなどの旅行会社に就職を志望するのは、お門違いです。就職できたって、添乗員としてほとんど働けません。なぜなら、添乗業務を添乗員派遣会社にほぼ丸投げしているからです。
ということは、昨日までA社のツアーに添乗していても、今日はB社のツアーに添乗、来週はC社のツアーに‥なんてことは当たり前の光景です。
添乗員には"資格"がいるよ!
添乗員として働くためには、「旅程管理主任者」という資格が必要です。添乗員の仕事は、バスガイドさんと混合されがちですが、決定的な違いは資格の有無です。バスガイドに資格は必要ありませんが、添乗員には資格が必要です。
この資格には、「国内」と「総合(海外)」の2種類があります。まず、最初は「国内」の主任者資格を取得し、慣れたら希望者は「総合(海外)」の主任者資格を取得し海外添乗デビューとなります。
私ツベルクリンは、「総合(海外)」を取得していますので、国内添乗も海外添乗もどちらも添乗することができます。
この資格は、旅行会社もしくは添乗員派遣会社に所属しなければ取得できません(一般人が趣味で取得できる資格ではないのです)。
もっとも、この資格の取得難易度は超簡単です。「総合(海外)」の資格取得の際には、語学テストもありますが、超簡単です(*'▽')
給料は歩合制で不安定
添乗員の給与体系ですが、派遣社員ですから歩合制であることがほとんどです(中には固定給で働いている契約社員もいるが少数派)。添乗(ツアー)に出た分だけお給料がもらえます。
添乗員派遣会社によって、給与額はまちまちです。日当制のところもあれば、時給制のところもあります。だいたいの相場として「添乗1日につき1万円+雀の涙程度の手当て」と言えます。
出典:https://jobstyle.biz/blog/12908
"雀の涙程度の手当て"とは、深夜手当(ツアースタートが午前5時前orツアー帰着が午後22時以降)や、登山ツアー手当、お遍路ツアー手当、などです。
添乗1日で1万円もらえる添乗員は、そこそこなベテランです。私は6年以上やっていますが、いまだに1万円を超えることが出来ていません。新人は8500円~くらいじゃないでしょうか?
また、添乗員の仕事は添乗だけではありません。添乗するツアーの打ち合わせ&準備、並びに帰着報告&清算があります。
打ち合わせ業務と清算業務に関しては、各旅行会社によって規定の手当てが決められています。だいたい、相場は打ち合わせ業務と清算業務それぞれ2000円前後です。
例えば2泊3日のツアーに添乗する場合のスケジュールともらえる給与を考えてみます
21日~23日のツアーに添乗すると仮定します。前日の20日に旅行会社に出向き打ち合わせをするとします。帰着後の24日に、再度旅行会社に出向き清算&帰着報告をするスケジュールです。
添乗に行くと1日1万円もらえる派遣社員の場合、もらえる給与は
打合せ業務→2000円
添乗業務→3万円(1万円×3日間)
清算業務→2000円
合計→34000円(20日~24日の5日間の給与)
といった感じです。打合せや清算は、何時間かかろうと手当は一律です。まあ、1日1万円もらえるような経験値を持つ添乗員なら打合せも清算もそれほど時間はかからないでしょうけどね。
年間を通して、添乗日数は200日を超えれば『今年はかなり添乗に行ったね~』って言われるレベルです。ってことは、年収に換算すると200万円台前半~中盤ってことになります。
何度も言うように、1日1万円もらえる経験値を持つ添乗員は多くないし、200日添乗することも結構なハードルなのです。200万円台中盤の給与をもらえる添乗員は、そこそこのランクの添乗員だと言えます。
社会保険も年金も無いよ
正社員なら必ず会社を通じて加入している社会保険や年金も、添乗員は派遣社員ですからありません。各自で国民健康保険に自費で加入せねばなりません。
自営業の方は、ご自身で国民健康保険に加入しておられるとは思いますが、保険料って年間で考えると決して安い金額ではないですよね。添乗員の場合、200万円台の収入から国民健康保険料、さらには個人年金も支払わなければなりません。
拘束時間が長い
ツアーによって集合時間は違いますが、たいていのツアーは朝早い時間帯の集合です。普通の日帰りツアーの場合、7時~8時くらいが集合時間として設定されています。新幹線や飛行機ツアーの場合、6時台の集合時間のツアーも存在します。
集合時間はあくまでお客様の集合時間であり、添乗員のスタンバイ時間は集合時間の1時間~30分前くらいが目安です。
帰着時間は、日帰りツアーの場合は19時前後、新幹線や飛行機ツアーだと22時前後です。1日の労働時間は12時間を超えるのが当たり前の世界です。15時間を超えることも珍しくありません。
もっとも、最近は働き方改革の余波で、ツアーの行程は短くなる傾向にあり、労働時間も少なくなっていく傾向にあります。まぁ労働時間が減ると稼ぎが減るんですけどね(๑・̑◡・̑๑)
ってか現在新型コロナウイルスが流行っているから今後ツアーの出発本数が減っていく(ツアーが減れば歩合制の添乗員の生活は立ち行かなくなります)可能性がありますし、そもそもあちこち人混みに行きまくる添乗員自身の身も危険にさらされますよね‥。
ただいま添乗員募集中です♬
以上のことを踏まえて、『でも添乗員になりたいわ(๑・̑◡・̑๑)』とか言う物好きな方、朗報です。添乗員業界は常に人手不足状態です。よっぽどの事が無い限り、添乗員になれない、ってことはありません。面接しに行ってその日に『いつ研修行ける?』って聞かれるレベルです。
また、定年退職して暇な方。第二の人生で添乗員をやる方もいらっしゃいます。70代でも現役でツアーの添乗をしてらっしゃる方も普通にいます。
なので、出来れば体力と貯金がある暇な人に、ぜひ添乗員業界に来て欲しいと思います。さぁ、ナチュラルにブラックな添乗員業界へおいでよ!(*'ω'*)