【ツベルクリンwalker】は、様々な観光地を添乗員である私ツベルクリンが徹底的にガイドしていくシリーズ記事です。今回は、千葉県にある「東成田駅」と日本一短い鉄道である「芝山(しばやま)鉄道」を取り上げます。
先日の記事で、東京近郊にブログのための取材旅行へ行くと伝えておりました。
私は、関東在住ではなく、東京へは飛行機や新幹線を使って行くような場所に住んでいます。なので東京"旅行"なのですが、その旅行中に取材した観光地の記事を今後何回かに分けてアップしていきます。その第1弾記事です。
"日本で一番短い鉄道"という称号を与えられているのが、千葉県にある芝山鉄道です。東成田駅から芝山千代田駅までのわずか1区間、2.2キロを運転するまさしくアウトローな鉄道です。
日本一短い鉄道、っていうだけでも十分アウトローであり、当ブログで取り上げる価値があるのですが、聞いたところによると、2つしかない駅の片方の駅である東成田駅が成田空港の敷地内にあるくせに、人がいない"秘境駅"らしいのです。これは、私が行ってみてその実情を読者の方にお伝えせねばなりません!
<目次>
芝山鉄道の概要
芝山鉄道がなぜ日本で一番短いのか、なぜ東成田駅が秘境駅化しているのか、これは大人の事情が複雑に絡み合っています。
成田空港は、1978年に開港しました。東京都心部から離れているので、どう交通網を整備するかが課題でした。今でこそ、JR東日本と京成電鉄、2社が直接空港ターミナルへ乗り入れていますが、開港当時に開業させたのは京成電鉄だけでした。その78年開業当時に「成田空港駅」として開業したのが、現在秘境駅化してしまっている東成田駅なのです。東成田駅は"旧成田空港駅"なのです。
ここで東成田駅の位置を見てみます。
出典:成田空港HPから引用したものを加工
成田空港は大きく分けて「第1ターミナルエリア」と「第2・第3ターミナルエリア」の2エリアから成りますが、空港開業当時の成田空港駅(現在の東成田駅)は、ど真ん中にあり、クソ不便です。
京成鉄道は、出来ることなら両方のターミナルの真下にそれぞれ駅を建設したかったのです。ところが、国の許可が下りませんでした。なぜなら、当時の国鉄(現在のJR)は東京駅から成田空港までを結ぶ「成田新幹線」の建設を計画していたからです。
京成電鉄がターミナルの真下に駅を作ると、成田新幹線を開業させても客の奪い合いになると思った国鉄は京成電鉄に圧力をかけたのです。京成電鉄は仕方なく、両方のターミナルの真ん中、クソ不便な場所に成田空港駅(現在の東成田駅)を開業させました。
ところが、新幹線建設への反対運動が起き、工事の途中で建設を断念せざる得ない状況に陥りました。その後、国鉄は民営化されJRとなりました。その際、新幹線用に造っていたトンネルが工事ストップのため放置プレイされていたのを、京成電鉄とJRが協力してそのトンネルを活用。在来線用に転化し、現在の「成田空港第2ターミナル駅」「成田空港駅(第1ターミナル)」として開業させたのです。それが1991年の話です。
出典:https://www.narita-kousoku.jp/
成田空港周辺の路線図です。JRも京成電鉄もそれぞれの「成田駅」から、それぞれのルートを通り、空港第2ターミナル付近で共有のトンネル(本来は成田新幹線用に造られていたもの)を使用し、ターミナルへ直接乗り入れるようになりました。
お察しの良い方は、東成田駅の末路がお分かりかと思います。クソ不便な"旧"成田空港駅は、新しいターミナル駅の開業とともに、名前を取り上げられ「東成田駅」と新たに命名。それまで日本の玄関成田空港の最寄り駅として栄華を誇っていた駅が一転して"誰も使わない駅"になってしまったのです。
さて、一方の芝山鉄道に関しては、建設意図は空港の開業によって交通が遮断される芝山町民への「補償」として建設された鉄道です。開業したての頃に、国が京成電鉄に依頼する形で、空港から芝山町までの鉄道建設を約束。用地買収に手間取ったものの、2002年に、すでに秘境駅化していた東成田駅と芝山千代田駅を結ぶ「芝山鉄道」が開業したのです。
東成田駅への行き方
芝山鉄道へ乗るためには、まず東成田駅へ向かわねばなりません。そのためには、成田空港へ行かなければならないのですが、電車で到着するパターンと飛行機で到着するパターンそれぞれで東成田駅への行き方を解説します。
電車で到着した場合‥
JR・京成電鉄ともに、まずは改札口を出ましょう。改札口の外すぐそばに東成田駅への連絡通路があります。
JR&京成鉄道共通の改札口です。ここを出ます。
ここに来た人の99.9%は、成田空港に用がある人ですから出発ロビーに向かうため真っ直ぐ進んでいきます。それを無視して赤の矢印に沿って進みます。
絶妙なポジションに警察官がいます。1人だけアウトローな方向に進むのですから、絶対不審者扱いされます。
でも、ちゃんと右側に「日本一短い鉄道-芝山鉄道線」って書いてアピールしてます。アピールしたって、こっち方向に進むのは私だけなんですけどね(´・∀・`)
飛行機で到着した場合
飛行機で成田空港へ着いた場合の行き方です。地下1階まで降りてください。ファミリーマートとマツモトキヨシが並んでいるところから右に曲がります。
すると、このような景色になります。電車から降りてきた人々が続々とこちら側へ来ています。この流れに逆らってまっすぐ進んでください。人々の進行方向と全く逆方向に向かうので、電車の場合以上にアウトローな行動に見えます。
ここをまっすぐ進むと、先ほどの警察官が建っている連絡通路入り口が左側へ見えてきます。
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誰もいない連絡通路
東成田駅まで500mとのことです。
こんな感じの殺風景な連絡通路です。冷房とか無いですが、冷んやりするのはどうしてでしょう?
日本一短い鉄道である、芝山鉄道線の乗車記念証が発行されるようになったらしいです。その広告です。
ポスター用の額縁が左右両側に等間隔で設置されていますが、「乗車記念証発行開始!」しか広告することが無いらしいです。
秘境駅ですが、私みたいなアウトローな過激派を見張るための監視カメラも稼働しています。
人を写さないように撮影しているのではなく、マジで誰もいません。
新しい広告が(๑・̑◡・̑๑)
芝山町のマスコットキャラクター"しばっこ君"の紹介です。芝山町は、はにわ推しらしいです。
外国人向けの英語で書かれた千葉県の観光ポスターがありました。ここを外国人が通ることが果たしてあるのでしょうか?
そして、ついにお知らせすることが無くなったみたいです。
終点が見えてきました。
芝山鉄道へ乗車しよう!
東成田駅構内です。誰もいません。日本の玄関、成田空港から500mしか来てないのに(๑・̑◡・̑๑)
日通の宅配サービスの広告です。昔、ここが成田空港駅だった頃の名残です。
在りし日の東成田駅の写真が掲示されていました。東成田駅さんだって、昔はたくさんの人が利用していたのです。
需要がほぼ皆無になりましたから、無駄なスペースは壁でふさがれてしまってます。
なかなか香ばしい80年代の香りがするモニュメントです。
「日本の伝統文化を現代の空の表玄関、成田空港駅によみがえらせることができました」とあります。まぁよみがえった後また瀕死状態になってるんですけどね(๑・̑◡・̑๑)
改札口です。芝山千代田駅まで片道200円です。なお、芝山鉄道線はICカード使えません。今こそ試そう、100円玉の力を…(๑・̑◡・̑๑)
路線図です。まだ、空港ターミナルに繋がっているなら需要はありそうですが、完全に(悪い意味で)独立しちゃってますからね。いくら補償で作られたとは言え、ヒドイです(´・∀・`)
もちろん誰もいません。
東成田駅のホームは、地下にあります。もちろん、エスカレーターとかエレベーターとかありません。バリアフリー0対応です。
ホームです。
誰もいない地下ホームほど怖いものはありません。
反対側に今は使われていないホームが見えます。昔はガンガン電車が到着していたのでしょう。
その使われていないホームで、確かにこの駅が昔「成田空港駅」として栄華を誇っていた証拠を見つけました。
アウトローな奴しか使わない駅なので、修理も適当です。
電車が来ましたよ〜。京成電鉄の成田駅から来ています。芝山鉄道は独立した鉄道会社ではありますが、電車自体は京成電鉄の車両を使用しています。
思ったより長げぇ(๑・̑◡・̑๑)
路線表示画面です。この画面要りますかね?
もちろん、誰も乗っていません。
このクソ暑い時期に水筒忘れるとか致命的ですわ。
成田駅から分離し、東成田駅、そして芝山千代田駅へとつながっています。こういうどことも繋がっていない独立した路線のことを、人間の体の一部に例えて「盲腸(もうちょう)線」と呼んでいます。
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芝山千代田駅の様子
芝山千代田駅に着きました~。
飛行機の関連工場が密集している感じです。朝夕は工場への通勤客でそれなりに需要がある路線みたいです。まあ、私が乗った昼時の需要は皆無なんですけどね(´・ω・`)
とりあえず、駅の改札を出ましょう。
自動改札機はありますが、ICカード未対応です。
とにかく、芝山町は埴輪とか縄文時代ネタで町おこししたいようです。
自動改札機があるような駅でこんなに誰もいない駅ってありますかね(*'ω'*)
普通、駅前だったらコンビニとか商店が1~2軒はありそうなものですが、見事に何もありません。もっとも、この鉄道は芝山町民への補償で建設されたものですから、赤字でも構わないわけです。
駅周辺の地図です。やはり、航空会社関連の工場が多いようですね。
何もないので帰ります。券売機が1個しかねえ(*'ω'*)。1時間に1~2本しか走っていませんから注意してくださいね。
あれ、これさっき乗って来たやつじゃん(*'ω'*)。待っててくれたんだね~
終わりに‥
この後、私はこの列車に乗り、東成田駅を超えて成田駅まで向かいました。お目当ては、「成田山新勝寺」です。先日、巨大仏が見られるということで訪れた成田山久留米別院の本院にあたる寺院です。
次回の【ツベルクリンwalker】は、成田山新勝寺編をお送りする予定です。ぜひご覧ください♪